近年、日本企業は「製品スペックで勝っても、事業で負ける」というような問題に直面することが多くなりました。情報や知識、技術よりも上位にある事業概念レベルでの創造力に弱さがあることが1つの要因ではないでしょうか。「概念のイノベーションを起こす力」ともいうべき、事業に対する在り方、中核的価値、グランド・コンセプトを打ち立てる思考力が、いま強く求められています。
そのような中核的価値をつかんではじめて、「健やかな体内環境維持のお手伝い・アズ・ア・サービス」あるいは「ミネラルウォーター・アズ・ア・健やかな体内環境維持の源」として、既存事業は概念の転換が図られ、軸を持って動き出します。
健やかな体内環境維持のお手伝いをサービスとして売るわけですから、ミネラルウォーターを売るのはその手段の1つです。そこからさらに、その提供価値の軸にそった商材(モノ・コト)はほかに何があるのか。もしかすると、発酵食品を品ぞろえして定期的に届けることがあるかもしれないし、健康セミナーやヨガプログラムなどを企画することがあるかもしれない。それらを統合的な仕組みを構築して、お客様に利便性高く、恒常的に活用してもらう。そういった発展が「アズ・ア」モデルによる事業概念の創造ということです。
VUCA時代に「概念のイノベーションを起こす力」が求められる
今日、事業を成功に導くために情報や知識、技術は重要なものです。しかし、どのような事業概念のもとにそれら情報や知識、技術を用いるかは、さらに重要なことといえるでしょう。VUCA(変動し・不確実で・複雑・曖昧な)時代の事業の成功は、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表されるように、単に比較相対で数値を多く取ったかどうかではなく、自事業に対し揺るぎない軸を持ち、独自の世界観で顧客を引きつけ、結果的に多くの数値を取ってしまうという像に移り変わっています。
近年、日本企業は「製品スペックで勝っても、事業で負ける」というような問題に直面することが多くなりました。情報や知識、技術よりも上位にある事業概念レベルでの創造力に弱さがあることが1つの要因ではないでしょうか。「概念のイノベーションを起こす力」ともいうべき、事業に対する在り方、中核的価値、グランド・コンセプトを打ち立てる思考力が、いま強く求められています。
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2015.07.10
2009.02.10
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。