財務省からの発表によれば、2020年度の税収実績は60.8兆円。過去最高となり、前年比4.1%の増加だったというのだ。コロナ禍で経済が大打撃を受ける中で、税収が伸びることが不思議としか言いようがないのだが、いったい何が起きているのか。
2020年春から続く新型コロナの猛威はオリンピックを迎えても、治まるどころかさらに増加傾向にあるのだが、なんといっても驚いたのが、2020年度の税収の発表だった。
財務省からの発表によれば、2020年度の税収実績は60.8兆円。過去最高となり、前年比4.1%の増加だったというのだ。つまり企業の利益は大幅に増加したのだ。
コロナ禍で経済が大打撃を受ける中で、税収が伸びることが不思議としか言いようがないのだが、いったい何が起きているのか。この税収増をみると、日本経済、本当は好調なのではないかと判断してもおかしくないのだが、1年前のコロナ禍の始まりの頃は、「リーマンショック以上の大不況になる」という専門家もいた。それが、特別定額給付金など、巨大な財政出動の要因にもなった。
この結果には、愕然とした人も多かったのではないか。街から人が消え、自分たちの商売の先行きも見えず、明らかに沈滞ムードが漂っているにもかかわらず、税収がなんと4%も増えたというのだから。
財務省の四半期ごとの数字を見ると、とくかく2020年度の第4四半期の伸びがすさまじい。製造業の平成3年1~3月期は、なんと、前年同期比63.2%の超大幅アプだ。おそらく中国、アメリカ向けの輸出の好調だと思われるが、ありえないほどの伸びとなり、国の予想をはるかに上回る結果となった。少し前の財務省の税収見通しは、8兆円と2019年度に対して大きく落ち込むことを予想していた。
それでも、売上と利益のアンバランス感はぬぐえない。2020年度の名目GDPは536.3兆円と前年比▲3.9%で、かなりの落ち込みにもかかわらず、収益は上がったのだ。
税収の増加分は消費税のアップによるとも言われている。2020年度の消費税収は21兆円、2019年度からの上昇分が2.6兆円あったことを考えれば、税収全体の増加額がだいたい合う計算になる。ということは、企業所得税収はほぼ変わらなかったということになる。
消費税というのは、まんべんなく10%かかるため、累進ではない分、どうしても低所得者のほうの負担が大きい。高額所得者や事業者にとって有利な税金と言ってもいいだろう。また、雇用調整助成金にしても、100%負担となった企業側にとっては何の問題もないが、上限金額があるため、雇用調整させられている人にとってはとんでもない話だ。
けっきょく、飲食や観光業などの、コロナ規制をもろにかぶってしまった中小零細やそこで働く人たちが犠牲になって、大手は収益大幅アップでウハウハということか。
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