行動経済学がさまざまなところで注目され、具体的な応用シーンが生まれている。 企業での導入、展開はどうなのだろうか。
行動経済学がさまざまなところで注目され、具体的な応用シーンが生まれている。企業でのマーケティングへの応用にも展開されつつあり、いたるところで、「○○の行動経済学」「誰でもわかる行動経済学」的なことが語られている。
それもそのはずで、行動経済学に関連して、ノーベル賞を3人受賞しているのだから、注目を集めないはずがない。2002年のダニエル・カーネマン、2013年に受賞したイェール大学のロバート・シラー教授、そして、2017年のシカゴ大学のリチャード・セイラー教授だ。
世界では、最初にイギリスがナッジユニットを組成し、さまざまな社会実験を行ったという。アメリカでは、2015年にオバマ大統領のもと、「行動科学のインサイトを活用し、米国国民に良いサービスを提供する」と発表された。
日本でもおくればせながら、2019年には経済産業省が「METIナッジユニット」をつくり、「行動経済学(ナッジ)」の施策へどう落とし込むことができるかの検討を始めたようだ。それに引っ張られるように、内閣(日本経済再生本部)、環境省、経済産業省資源エネルギー庁でもいくつかのプロジェクトがスタートしているようだ。
たしかに、国民全体(個人)を対象にするような施策を打つ場合、行動経済学にもとづいた選択肢の提供を行えば、かなりの効果はありそうだ。
これは国民全体へ向けての話ではないが、警察庁では、宿直明けの職員が休みを取りやすくするために、「自分で休暇を申請するのではなく、休暇を前提として、勤務したい場合は申請する」という制度にしたという。結果的に効果があったらしく、経済行動学会のベストナッジ賞を受賞したそうだ。
企業での導入、展開はどうかというと、マーケティングへの展開例が増加している。巷でも、「行動経済学をマーケティングに生かす」的な書籍やWebサイトが相当増えてきた。
はやりものに目がないコンサルタントの方々は、「この施策は、行動経済学でいう○○効果で実証されておりまして・・・」などとおっしゃっているのだろう。
行動経済学という、キャッチ―なネーミングと「人は常に合理的な選択をするわけではない」という、知ったようなコンセプトは、これまでの王道だったコトラーのマーケティングに対する新しい知見的な位置づけで、ブランディング的にも文句ない。
ただしかし、よく見かける話は、以下のようなB2C志向のものばかりだ。
「通常価格○○円を50%オフの○○円!」=アンカリング効果
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