コロナ禍がもたらすのは「処し方の変化」か「在り方の変化」か

画像: けんたま/KENTAMA

2020.07.14

経営・マネジメント

コロナ禍がもたらすのは「処し方の変化」か「在り方の変化」か

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

私たちはこの第1波コロナ禍で、いろいろなことが「変わった/変わるだろう」と口々に言います。確かに多くのことが変わるのでしょう。しかし、変わるといっても、表層的な変化と根本的な変化、外的な変化と内的な変化、といったように質やレベルがあり、そこに注視することが重要だと思います。

そのまま表層を渡っていくのか、それとも在り方の次元に意識を向け、深くを耕していくのか。これは決定的に大きな分岐です。

私は仕事柄、さまざまな人たちのキャリアを観察してきました。50代以降もはつらつと働いている人は、知識・スキルを「いかだ」としてではなく、「鋤・鍬(すき・くわ)」として、自分という可能性を耕し続けている人です。あるいは、知識・スキルを「刀」として、人生の在り方を彫刻している人です。そのようなキャリアの体現には、堅固なマインド・観の醸成がなくてはならないのです。

◆研修のオンライン化は「小さな変化」

コロナ禍が本格化した3月、集合型研修を生業とする私のもとには、すべての顧客企業から今年度の研修の中止・延期の連絡が入りました。その後、研修業界ではWEB会議ツールを使ったオンライン化研修の波が急速に起こります。ツールの使いこなしを指南する専門家も続々現れ、ネットセミナーは花盛りです。

私もそんな外側の一大環境変化に合わせ、ドタバタとスキルを習得し、研修プログラムを組み替え、サービスの再構築をはかりました。オンラインでの研修において、受講者とのコミュニケーションの取り方は確かに異なります。そのために講義方法を変えることが必須です。

しかし私にとって、そうした手段・方法の変化は小さな変化でしかありません。研修事業者の中で、WEB会議ツールを使いこなしてうちはこんなこともできる、あんなこともできると、それのみを自慢しているところがあれば、それは小さな変化の環にいるのでしょう。他方、「何が教育されるべきか」というコンテンツそのものに変化の手を下そうというところは、大きな環にいるといえます。

コロナ禍によって何が変わるのか。それは小さな環の変化なのか、それとも大きな環の変化なのか。みなさんの組織において、あるいはみなさんお1人お1人においてどうなのかを見つめてみるとよいかもしれません。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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