コロナ後の世界観~自由と自制/成長と成熟

画像: N.Murayama

2020.04.25

ライフ・ソーシャル

コロナ後の世界観~自由と自制/成長と成熟

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

この新型ウイルスは私たちに3つの戦い──生物的な戦い、経済的な戦い、そして世界観を再構築する戦い──を強いています。本稿では、人間がもつ豊かな抽象化能力について触れ、そこからいかにコロナ後の世界観をつくりだしていくかについて述べたいと思います。

さて、この寓話からあなたは何を学び取るでしょう。

ある人は「怠け心は結局得にならない」と日常生活への知恵にするかもしれません。また、ある人は「技術は中途半端に用いると危険だ」と自分の仕事のことに当てはめて考えるかもしれません。さらには、これを現代文明への警鐘として受け止める人もいるかもしれません。

米国の評論家・歴史家であるルイス・マンフォードは、『現代文明を考える』の中でこの寓話を取り上げ、こう記す。

───「大量生産は過酷な新しい負担、すなわち絶えず消費し続ける義務を課します。(中略)『魔法使いの弟子』のそらおそろしい寓話は、写真から美術作品の複製、自動車から原子爆弾にいたる私たちのあらゆる活動にあてはまります。それはまるで、ブレーキもハンドルもなくアクセルしかついていない自動車を発明したようなもので、唯一の操作方式は機械を速く働かせることにあるのです」。

◆具体と抽象を行き交う「πの字」思考プロセス

1つの寓話から引き出す内容、当てはめる先は、人それぞれに異なります。それを描いたのが下図です。このように、ある比喩を生活や仕事、社会にかかわる物事に広げ応用していくという豊かな能力が人間にはあります。

比喩を展開していくプロセスは、図に描いたとおり3ステップです。①抽象度を上げて考え、②共通性を見出し、③当てはめる。

こうした比喩をさまざまに展開していく能力は、いわゆる「アナロジー(類推)」思考の1つです。MBA(経営学修士課程)でよく行われるケーススタディによる学習法や、ビジネスモデルの横展開などもアナロジー思考をベースにしたものといえます。

ちなみに、私はここで示した3ステップの流れを「抽象化→概念化→具体化」として整理し、その形から「π(パイ)の字」思考プロセスと呼んでいます。私たちは事象・経験の世界である具体次元と、概念・本質の世界である抽象次元とを往復して、物事への認識や行動意志を強めていきます。

◆コロナ禍から何を教訓として引き出すか

さて、現実の世界に目を戻しましょう。新型のウイルスが全世界に拡大してしまいました。残念ながらこれは寓話ではなく、現実の話です。しかし、ここからも私たちは豊かな抽象化の能力、アナロジーで考える力によって、英知をわかせることができます。

下の図がそのワークシートです。みなさんはこの進行するコロナ禍から何を引き出し、どう現実の生活・仕事・社会に応用し行動するでしょうか───?

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。