中央競馬では、2月29日から無観客でのレースが行われているが、馬券の売上はかなり健闘しているという。 なかでも、3月30日に行われたG1の高松宮記念は、なんと前年プラスの売上だったというから驚きだ。
2018年度のBtoCにおける日本国内のEC市場規模は17兆9,845億円とされており、1位はダントツで、2018年度1兆5千億円を上げるアマゾンなのだが、中央競馬会だけで、EC率を70%としても約2兆円あることになり、アマゾンを軽く超えている。
まさに、ECの隠れ1位だ。
ネットでの購入のほうが、リアルで馬券を買うよりも高額になるというデータもあるそうで、「ポチ」の手軽さが、購入障壁を下げているといえる。
こうなると、今後の展開もかなり変化がありそうだ。
来場者が少なければ、周辺のビジネスは基本的になくなる。人が来ることを前提にしたビジネスは多く、競馬場内や近隣での飲食、駐車場もあれば、アナログの代名詞、競馬新聞もある。
競馬場に人が来なければ、おカネが落ちることもない。
その代わり、ネットでのビジネスにはチャンスがある。競馬の開催日には、何十万人がサイトに訪れ、お金を落とすのだから、この人たちへの価値提供は可能だろう。付帯情報として必須の競馬新聞は、すでに、紙からWebメディアへとかなり移行している。
また、レースの在り方にも変化がありそうだ。極端な話、無観客でできるとなると、1日のレース数や開催日にも変化が訪れるだろう。
しかしながら、どのスポーツでも同じ話だが、モニター越しに眺めるスポーツと、現場の臨場感を味わいながら観るスポーツは、まったく違う。やはり、スポーツは、歓声や応援あってのものであることは間違いない。
いまこの瞬間においてだけ、ネットを活用することで、かろうじて持ちこたえている状況なのかもしれない。
他のEコマースでもそうであるように、ネットとリアル、それぞれの良さを楽しみながら、相乗効果を得ながら、売り上げが伸びてきたという側面もあるだろう。現地に観戦に行き、馬券はネットで買うという人も多いと聞く。
新型コロナが、人の心に与える影響は計り知れないし、心理的な変化は読み切れないが、あまりに長期間続くようであれば、こうしたハイブリッドな楽しみ方ができなくなるわけで、やがてファンは離れていくのかもしれない。
今は、単純に、リアルでできていた馬券の購入をネットで代替わりしているだけだが、リアルとネット、昔から言われていることだが、それぞれの良さを生かした「遊び方改革」が求められているのだろう。
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