2019年10月1日に消費税率が8%から10%に引き上げられてから早くも4カ月が経ちました。 今後、消費税増にまつわる消費動向や経済指標など、具体的数値が発表されていくことになりますが、今記事では、消費税増を私たち国民目線に置き換え、あらためて“何が変わったか?”をおさらいしていきましょう。
「消費税法1条第2項」
消費税の収入については、地方交付税に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療および、介護の社会保障給付ならびに、少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。
減少し続ける、可処分所得
2%の増税を身近に感じていない人が多いとはいえ、実際に家計に影響していることは間違いありません。その影響度を図るバロメータのひとつが「可処分所得」ですが、可処分所得とは「個人の家計収入から、支払いを義務づけられている税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた金額」のこと。
消費税がアップすれば、それだけ日常的に自由に使えるお金が減少することになりますが、実は今回の消費増税に限らず、平成の時代から見えにくい形でさまざまな負担が増していて、家計の支出は確実に増え続けているのです。その負担増の一部を挙げてみましょう。
■厚生年金保険料率の段階的引き上げ/2004年には13.93%だった厚生年金保険料率が、毎年9月に段階的に0.354%ずつ引き上げられ、2017年には18.30%(労使折半)に上昇。
■国民年金の段階的引き上げ/2004年に1万3300 円(月)だった国民年金保険料が、2005年4月から毎年280円引き上げられ、 2018年には1万6900円(月)月に。
■恒久的減税とされていた定率減税が2006年から縮小され、2007年以降廃止になり、実質増税に。
■復興増税が2013年から25年間、2.1%引き上げ。
■2014年4月より消費税が5%から8%へと引き上げ。
■2014年度から2023年度までの間、防災施策費として個人住民税の均等割税率の引き上げ(道府県民税は年額1000円から1500円へ引き上げ。市町村民税は年額3000円から3500円へ引き上げ)。
■2014年4月の消費税8%への引き上げに続き、個人住民税も引き上げ。
■国民健康保険の保険料が2020年度から年間上限額を引き上げ(同時徴収分の介護保険料も引き上げ)。
■後期高齢者医療制度(75歳以上加入)も、2020年度から年間保険料の上限額を現在の62万円から数万円引き上げ。
このように今回の消費増税にとどまらず社会保障料の負担が増していることから、実質可処分所得は減り続けていることになります。さらに2020年度から、給与所得控除の上限引き上げによる増税が、年収850万円超の人(世帯)にまでおよぶなど、私たちが気づきにくい形で確実に負担は増しているのです。
その一方、2018年に見直された配偶者特別控除では、上限38万円の控除を受けられる範囲が大幅に拡大。従来の「103万円」の壁が「150万円」の壁へと変更されたことで、女性の就労意欲の増加も期待されています。
次のページ消費増税緩和策1/軽減税率と還元率のおさらい
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