赤字団体が続出!制度の“ゆがみ”で自治体格差が拡大する「ふるさと納税」

2019.12.13

ライフ・ソーシャル

赤字団体が続出!制度の“ゆがみ”で自治体格差が拡大する「ふるさと納税」

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地方自治体への寄付金制度として2008年に導入され、いまや全国で300万人以上が利用する「ふるさと納税」。その2018年度実績が総務省から発表され、自治体間の格差問題があらためて浮き彫りとなった。

過度な返礼品で多額の寄付を集めることには賛否両論あるものの、指定制度から除外された泉佐野市は総務省を相手取って大阪高裁に提訴すると表明。東京都の小池百合子知事も、見せしめ的に4市町を除外した総務省の姿勢を批判している。

制度の仕組み自体にメスを入れる必要がある

こうして、ふるさと納税をめぐる状況や数字を見てくると、あちこちに“ゆがみ”が生じていることがわかるだろう。高所得者ほどインセンティブが働く仕組み、地方交付税の交付・不交付で生じる自治体間の格差、指定制度の線引きのあいまいさ……。ふるさと納税という名のもと、寄付集めばかりが先行して、採算や使い道が二の次になっている「お役所的な風潮」も考えものだろう。

国としては指定制度を設けることで、返礼品競争に歯止めをかけようとしているが、4市町のような団体を除外するかどうかにかかわらず、自治体格差や税収を奪い合う構図は変わっていない。財政が厳しい中、地方交付税で明暗が分かれる自治体もあれば、使い切れないほどの寄付金を集める自治体もある。

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そもそも、ふるさと納税の趣旨とは「納税者が税の使われ方に意識的になること」「納税者が応援したい自治体を選択できること」「自治体が取り組みを全国に発信できること」に加え、それが「見返りのない寄付」によって行われることである。今後、ふるさと納税が本来の趣旨に沿って健全に成長していくためには、返礼品の撤廃や税額控除の大幅な引き下げなど、制度の仕組み自体に大きくメスを入れる必要があるだろう。

いずれにせよ、軌道から外れたふるさと納税の抜本的な改革は、将来的に避けて通れない重要課題であることは間違いない。そして、私たち納税者も税の本質という視点から、ふるさと納税のあり方について再考する時期にきているのではないだろうか。
まずは、自分の住んでいる自治体がどのような状況にあるのか、この機会に調べてみるのもいいかもしれない。

※図表・データ出典、参考/総務省「平成30年度ふるさと納税に関する現況調査」、日本経済新聞


≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
20年以上にわたり、企業・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌・各種サイトなどの記事を執筆。長年の取材・ライティング経験から、金融・教育・社会経済・医療介護・グルメ・カルチャー・ファッション関連まで、幅広くオールマイティに対応。 好きな言葉は「ありがとう」。


【記事元】
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