ここ数年、為替レートの変動が少ない年が続いています。筆者は1980年代から為替・金利の動きを見ています。
【記事元】
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最近の為替レートの動き
海外投資の好機か
1980年代、1990年代は、プラザ合意、日本のバブル崩壊、アジア危機、日銀の為替介入、日米金融当局の利上げと利下げなどがあり、ドル円は大きく変動しました。
欧州に目を転ずると、EUの通貨統合、ポンドに立ち向かったヘッジファンドの重鎮ジョージ・ソロスの信念に基づいたポンド売り等、大きくイベントがありました。多くの名だたる投機家が活躍する時代でありました。
ドル円に関しては、年間の振れ幅が10円以上ある年がかなりありました。筆者もディーラーとして腕を振るった良い思い出、悪い思い出が数々あります。
しかし、最近の為替レートの動きを見ていると、本当に動きが少ないです。先週の日経新聞(11月21日「円の「低温相場」一段と」との記事を見て、寂しい思い出がありました。
しかし、これは海外に投資する投資家にとっては好機でもあるのではと思った次第です。海外の不動産を含めた金融商品に投資する場合には、どうしても為替リスクが付きまといます。
しかし、年間変動率、そして数年の変動率が少ないということは、それだけ投資商品のキャピタルゲイン(金融商品の価格の変動により得る収益)とインカムゲイン(金融商品の金利収入)を獲得でき、為替リスクをそんなに気にしないで投資できるのではないかと、最近の為替レートを見るたびに思います。
ドル円のチャート
それではドル円のチャートを見てみましょう。下記のグラフは過去4年間のレートの動きを週足で描いたものです。緑の線は概ね115円と105円です。2016年後半からは見事に115円と105年のレンジに収まっていることが分かります。そして今年の変動幅を赤の線で示しました。
今年1月の大きな変動は、正月の薄い流動性の中、トランプ大統領の中国に対する関税引き上げのニュースが駆け巡り、為替が瞬間的に大きく変動したことによるものです。ノイズとして消去しても良いのではと思います。今年に限って見ると、概ね112円と106円のレンジに収まっていると言えます。
この要因をちょっと解説してみましょう。
金利の動きについて
当面の利下げは行われない?
金利の動きです。日米金融当局の動きが共に緩和的な動き、つまり逆説的に言えば、ドル金利と円金利共に上昇しない環境になってしまっていることがあげられます。
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