日本大会組織委員会は、大会が始まる前にその経済波及効果を4372億円になると予測していましたが、実際には日本代表の大活躍で、さらに上振れするに違いありません。とはいえ、TV観戦に熱が入り、家庭でのビールの消費は増えたものの、私たちの日常生活のなかでこの数字がいまひとつ、ピンとこないのも実感ではないでしょうか。 そこで、全国民を熱狂と感動の渦に巻き込んだ日本大会にまつわるお金の話をさまざまな角度から検証してみましょう。
プロスポーツの頂点に立つNBA(アメリカのプロバスケットボール)の平均年俸は約7億9000万円、2018~19年の最高年俸は、オクラホマシティ・サンダーのPGラッセルウエストグルックの約46億円です。
また、MLB(メジャーリーグ野球)の平均年俸は約4億9000万円で、2019年の第1位はワシントン・ナショナルズのピッチャー、マックス・シャーザーの約41億円、日本選手ではシカゴ・カブスのダルビッシュ・有投手が20位で約23億円、というレベルで、ラグビー選手は遠くおよびません。
その意味でも、ラグビーは「金銭ではなく栄誉のために戦うスポーツ」と言いきってよいのではないでしょうか。
ラグビー人気を、日本でも定着させるために
日本代表が歴史を塗り替える素晴らしい結果を残した今大会。観客数は準々決勝までに144万人を超え、国民的な熱狂を巻き起こしました。ラグビー界ではせっかくのこの盛り上りを一過性のものにせず、国民的なスポーツとして認知されるように努力を続けていくべきだと考えている人は、きっと膨大な数におよぶことでしょう。
実際のところ、高校でのラグビー競技人口はここ20年で半数近くまで減ったといわれています。普及につなげる施策として、日本ラグビー協会は幼児や小中学生を対象として「全国一斉体験会」を開く予定としていますが、残念なことに台風19号の河川氾濫の余波を受け練習場が使えなくなる、という窮地にあります。
とはいえ、幼いキッズが地元のラグビー教室の門をたたいたり、公園でラグビーボールを持って遊んでいる子どもたちが、いま急増しているといいます。ラグビーに国民の関心が寄せられているいまだからこそ、企業や自治体、ボランティアによる支援を期待し、次世代につなげる選手も生み出していきたいところ。
ラグビーのおもしろさに目覚めた「にわかラグビーファン」が、将来、真のラガーマンとなるか、あるいはラグビーファンになるか、それはこれからが正念場かもしれません。
参考URL:https://www.rugbyworldcup.com/news/321850 組織委員会公式サイト
≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援の仕事に携わる。28年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
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