年金問題で、老後資金として公的年金とは別に2,000万円準備してくださいねとの金融庁の報告書が公表されて以来、投資機運が日本で盛り上がってきています。将来の年金支給に不安がある若い世代には特に投資熱が盛り上がっているようです。 しかしながら、現在の投資環境には暗雲が漂っています。今回は特に為替動向を検証してみたいと思います。
②ファンダメンタルズ
日米ともに、悪い数字はそれほど出ていないようです。第2四半期GDP(国内総生産)を見ると、米国:2.1%前年比、日本:1.8%前期比年率と共に悪くはないのですが、ここでも今後の米中貿易摩擦の影響が心配されます。
③日本の貿易収支
月ごとに見ると黒字が多いが赤字の月もあり、というところですが、年間を通して見ると貿易収支は黒字体質です。
そして資本の流れを見ると、海外投資が依然として多く、利益を生んで円に戻すことになっています。結果、ドル売り・円買いの需要が多くなっています。
本邦企業にとって、為替が円安に振れれば為替差益が増え、企業収益が増えることになります。反対に円高に振れると為替差損が増え、企業収益が減ることになります。
日銀短観の6月時点の大企業・製造業の想定レートは109.35となっているのですが、現在の106.00前後のレートを見ると、どうしても悲観的になってしまいます。
④政治要因
再三となりますが、、やはり米中貿易摩擦がメインテーマになります。グローバル経済の動向に大きな影響を与えており、特にトランプ大統領の発言には注意しないといけないところです。
ヘッジファンドの動きを見る
筆者はヘッジファンドがどのようにドル円の動きを見ているのか参考にするために、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の週ごとのポジションを検証しています。
下記のグラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は過去5年間のポジションを示しています。これを見ると、今月に入り円ネットロング(円買い持ち)に変化しています。(緑丸部分を参照)
このことはシカゴのヘッジファンドが、円高方向を今後予想して、その方向にポジションを変えていることを意味します。
グラフを見ると、2017年からほとんど円ネットショートポジションになっており、円安方向を予想していたことが推測できます。シカゴファンド筋は、デイトレーダーではなく、中長期的にポジションを取ってゆく傾向があります。
それは上記4項目であげた要因を総合的に考察して、結果ポジションを積み上げているように思います。その意味では、為替動向(この場合ドル円)ですが、非常に参考になるのではと思っています。皆さんも為替相場を見る上で参考にしてください。
それではドル円のチャートを見ましょう。下記のグラフは昨年11月からのドル円のチャートを示しています。
遠目で見ると、ドル円が下落していることが分かります。日米金利差縮小つまりドル金利急速低下、米中貿易摩擦等複雑に絡み合い、相場を形成しています。
ローソク足と共に、90日移動平均線(赤線)と21日移動平均線(青線)を参考に載せました。90日線と21線の乖離が広がっており、流れはドル安・円高方向にあるように見えます。
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