ド派手なPayPayのキャンペーンや、なんともお粗末なセブンペイの中止騒動など、話題には事欠かないキャッシュレス周りだが、企業のマーケティング担当者は、来るべくキャッシュレス時代に向けて、どのような準備をすればいいのだろうか。
日本での現金以外の利用は、圧倒的にクレジットカードだ。プリペイド式のカードなら流通系と交通系ががんばっているが、話題のQRコード式はまだまだだ。スマホでの買い物の便利さを訴求するのであれば、QR式の普及が必須なのだが、なかなか進まない。
ある小売りの担当者がこぼしていたが、レジ回りが年々端末機に占領されてくるという。機械の費用もあるし、システムの改修も必要だし、それぞれの手数料もばかにならない。現金と比較して本当にコストダウンになっているのか疑問だという。
まだまだ本腰を入れて取り組みたいと思えるほど、市場は熟していないのだが、消費税増税にともなうキャッシュレスのインセンティブは半端なく、これを機に、一気に広まる可能性もなくはないだろう。
さて、来るべくキャッシュレス時代に、マーケティング担当者としてはどのような準備が必要なのだろうか。
まず考えられるのは、Eコマースのさらなる進展だろう。キャッシュを伴わない決済が便利になればなるほど、購入への障壁は下がる。そのためには、メーカーであっても、SNSなどによるコミュニティの活性化による個人とのエンゲージメントの強化、イベントや展示会での個人データの収集、データ化を進めておく必要がある。
アンテナショップや小売りとの連携が可能であるならば、決済情報に加えて、位置情報を取ることも可能となる。しかも、アプリを限定して活用できるので、地域、アプリ特性を生かした、精緻なキャンペーンやプロモーションも可能になるとなれば、SNSにからめた広告やプロモーションから、決済アプリを中心としたプロモ―ションも活性化していくことも考えられる。
しかしなんといっても大きいのは、一般ユーザーのスマホとの接触時間がますます増えることだろう。今でもポイントはスマホアプリで行っている店舗は多いが、大半の決済がスマホになるとすれば、単純に財布との接触時間が増えることになる。
さらに、決済をスマホで行うということは、スマホに家計簿の機能が加わることにもつながる。コミュニケティやエンターテイメントなどのほかに、個人のファイナンシャルプランの機能が追加されるということは、スマホのなかの情報が自分の生活と切っても切れない状態に近い。
となると、企業としてもますますスマホ向けのコンテンツ提供、プロモーションを強化しなければならなくなる。個人におけるメディアは、完全に「スマホ1強」となりそうだ。
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