ものやサービスの値段は時代によって変わるものです。「高い」「安い」の基準になっている貨幣の価値も時代によって大きく変わります。 さまざまな分野のものやサービスの「お値段」を比較してみましょう。
「食パン」「その他のパン」の違いとは?
ただし、どちらかというと、食パンは以前のように食べられなくなっているかもしれません。サンドイッチやフランスパンなどのほうを口にすることが増えているのではないでしょうか。
総務庁の「家計調査報告」では、パンは「食パン」と「その他のパン」に分類されています。「その他のパン」はフランスパン、クロワッサン、サンドイッチ、惣菜パンなどのこと。この分類からも以前は「食パン」が日本人にとっての代表的な「パン」だったことがわかります。現在では「その他のパン」がパン食の7割を超えています。
日本初のスーパーとして開店した紀ノ国屋(紀ノ國屋)は、アメリカ人客の「(日本の食パンではなく)欧米並みの本物のパンも扱ってほしい」という声に応え、1956年に日本で初めて店内にパン窯(がま)を設置して販売を始めています。パン食も変化していることがわかりますね。
食パンのお供である「牛乳」のお値段は?
そして、パン食のお供といえば、牛乳でしょう。
牛乳は江戸時代以前から日本に入ってきていましたが、普及するのは、明治期に北海道開拓が始まってからになります。
東京で牛乳が家庭に配達されるようになったのは明治14(1881)年から。
このときのお値段は一合(180mL)3銭。3銭は、かけそばの3倍程度の値段に匹敵します。高級品だったのですね。
大正時代になってからは、国民の栄養状態の改善の目的もあって、政府が牛乳の振興策を取るなどして、広く全国に普及しました。
ところが、昭和時代になってからは消費量が落ち、太平洋戦争中には、配給もされませんでした。戦後には食生活の多様化なども追い風になって牛乳・乳製品の消費量は急増。昭和29(1951)年の牛乳一合のお値段は13~14円。この年にかけそば一杯が25円でしたから、現在の金銭感覚であれば、100円程度でしょうか。ずいぶん安くなったことがわかります。
── 現在では、日本人の牛乳の年間消費量はヨーロッパ諸国の3分の1から4分の1ほど。少子化などの影響もあって、1994年をピークに牛乳の消費量は減少傾向が続いています。
私たちにとって最も身近な食べ物である「食パン」と「牛乳」ですが、お値段の変化を見ていくことによって、日本人の生活様式の変化も垣間見えてきます。1斤100円程度のスーパーの廉価品も美味しいですが、1斤500円以上する食パンが飛ぶように売れている昨今、食パンにも流行りの?格差が生じているのかもしれませんね。
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