国内外の高級ブランドや老舗店が軒を連ねる東京・銀座で、いまホテルの開業ラッシュが続いている。 ここ近年、国内では訪日観光客の急増にともない、格安なビジネスホテル・ゲストハウスなどの宿泊施設が増え、民泊の普及に向けた規制緩和も進められてきた。ただ今回、銀座に顔をそろえるのは、滞在そのものを満喫できる新形態のホテルや、価格帯の高いハイブランドが多く、それぞれに異なる個性や価値観を打ち出したコンセプトメイクを特徴としている。 では、どのようなスタイルのホテルが銀座に誕生しているのだろうか……。その特徴やコンセプトとともに、激戦化する銀座ホテル競争の背景にフォーカスする。
「量・汎用性」ではなく「質・個性」を追求
ただ、ホテル業界にとって銀座は建築規制が厳しいうえに、不動産の取得競争が激しく、広い土地を確保しにくいのがネックとなる。車寄せやバンケット(宴会場)などの施設を設ける余裕がなく、客室数も100~200室程度しかとれないため、結婚披露宴などの大型宴会や客数で利益を上げるのが難しいのだ。これまで銀座にホテルが少なかったのも、そうした理由が大きい。
そこで今回、銀座に進出する各ホテルでは、ハイクラスな新ブランドを投入して客室単価を高めるとともに、低層階にテナントなどを誘致することで収益を確保。ネックを逆手に取り、ホテルの規模をサイズダウンすることで、「量や汎用性」ではなく「質や個性」を追求する戦略を打ち出す。
また、ホテルを利用する顧客の意識やニーズも、時代とともに変わりつつある。ここ最近は、何でもある従来型の複合ホテルではなく、何かに特化したライフスタイル系のホテルに支持層が広がり、リピートされる傾向が高まっているという。盛大なパーティーや結婚式はできなくても、日常を離れたサードプレイス(職場でも家庭でもない第3の居場所)として快適なステイを満喫できる……。それが銀座のホテルの新たなスタイル・魅力として定着し、ファン層を広げていることは間違いないだろう。
2020年以降、都心部の多くのホテルで閑古鳥?
一方で、2020年の東京五輪に向けて、銀座以外の都心部でもホテルの建設ラッシュがピークを迎えており、逆に供給過多を指摘する声も上がっている。五輪期間の需要を見込んでホテルを建設しても、終わった後に閑古鳥が鳴くのは、国内外の過去のケースを見れば明らかだ。一時的に乱立したホテルの多くは、またたく間に淘汰され、箱モノだけが負の遺産として残る。
そうした懸念も広まる中、ますますヒートアップする銀座のホテル競争……。
果たしてどこが勝ち組となり、将来的に生き残っていくのだろうか。2020年以降の真の正念場に向けて、その実力と真価が試されようとしている。
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
20年以上にわたり、企業・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌・各種サイトなどの記事を執筆。長年の取材・ライティング経験から、金融・教育・社会経済・医療介護・グルメ・カルチャー・ファッション関連まで、幅広くオールマイティに対応。 好きな言葉は「ありがとう」。
【記事元】
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