コメは日本人の主食。毎日の生活になくてはならない存在だ。が、ここ数年、そのコメの世界に大きな地殻変動が起きている。 最近、スーパーなどでは見慣れないブランドの米が多く並ぶようになっている。有名な「コシヒカリ」や「ササニシキ」以外に、新ブランドがどんどん誕生しているのだ。 国内のコメの消費量は減少しているのに、ブランド米が増えている背景にはどのような事情があるのだろうか。
これにより、水稲の品質低下が、西日本を中心に発生するようになっている。この異常な温暖化の影響で、これまで涼しすぎて稲作に向かないとされてきた北海道が、今後の稲作の中心地になってくるのではないかと予想する専門家もいる。近年は品種改良が進み、北海道産のコメのヒットブランドが誕生するようになっているのだ。
温暖化の進行によりコメの品種開発が進み、作付けられる品種数は2010年に13だったものが2016年には27に増えている。多くは高温環境でも栽培しやすい品種だ。そしてこの高温耐性品種は、2016年に全国9万1400ヘクタールに作付けされ、10年前と比べて2.4倍になっている。
2018年に本格デビューした富山県の新ブランド米「富富富(ふふふ)」は、高温に強く、病気もしにくい。うま味と粘り、甘みが強いことが食味の特徴だ。高知県の「よさ恋美人」も高温に強く、甘みと香りの良さが特徴だ。
今後、このように高温下でも栽培でき、美味しいコメが多くデビューしていくことになるだろう。
コメの評価に影響大の食味ランキングとは
さて、多くのブランド米の生産者たちが気にしているものが、財団法人日本穀物検定協会が実施している「コメの食味ランキング」だ。例年11月から検査を始め、2月に結果を発表している。
検査は、協会が選抜した「エキスパートパネル」と呼ぶ評価員たちが実際にサンプルのコメを食べ、「外観」「香り」「味」「粘り」「硬さ」「総合評価」の6つで評価する。
基準米となるコシヒカリのブレンドと食べ比べ、「0」を中心にプラスマイナスがそれぞれ3段階ある全7段階で表し、「特A」「A」「A’」「B」「B’」の5段階のランキングをつける。機械で測って数値化するのではなく、エキスパートパネルの味覚が頼りの検査だ。
2018年の食味ランキングで、新潟県魚沼産のコシヒカリが28年間守り続けた「特A」から「A」に転落。原因は天候不良によるものとの見立てだったが、関係者はもちろんのこと、全国のコメ農家に衝撃が走った。
2019年は「特A」に復活してその実力のほどを見せたが、他のブランド米も品質を上げているだけに、「魚沼産コシヒカリ」というだけで売れる時代は終わったとも判断できる。
2019年の食味ランキングで「特A」になったブランド米を見ると、四国や九州など、温暖な地で生産されたものも多く入っている。暑さに強い新品種が、どんどんその食味や品質を上げていることの証拠だろう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31