人生100年と言われるものの定年を一つの人生のターニングポイントとして意識する人は多い。食べるための仕事から自己実現のための「ライフワーク」を模索する人も多く、改めて自分の人生を見直す機会になるようだ。 一般に自己実現への成長モデルとして例にだされる「マズローの5段階欲求説」だが、この順序に捉われる必要はないのではないか。人は幸せになるために、欲求を満たしたいと思う。しかし、マズローの説のように下位の「食べるための欲求」などを超えて、自己実現欲求を強く持つ人は意外に多いものだ。 改めて幸福感の質を段階的に問うと、物質的な欲求より愛や理想、生きがいなどに、より精神的な充足を求める人が多い。5段階をたどらなくても、人はもっと自身の人生を肯定したい存在。 定年という一つの人生のポイントを意識して、心の奥で何かが騒ぎ出すなら、そこから目をそらさずに向き合うと、何に気づけるだろうか。
1が満ち足りたら2、3へと成長が進むよりも、 人は、初めから「そこ、そのレベルが欲しい」という存在なのではないでしょうか。
◆幸福感の質 8段階
今年になって、私の心理学の師匠でもある本宮輝薫氏(フラワーフォトセラピーの開発者・NPO日本ホリスティック医学協会・理事)が、幸福感の質には、8段階あることを説いていました。とても興味深いので参考までにシェアします。
【幸福感の質 8段階】
① 食・性・安全が保たれて平和に暮らせること
② その上で、富・名声・ステイタスなどが一般的な人よりも恵まれていること
③ 世間並みかそれ以上の裕福さ・幸運に加えて、一般的な「愛」が保たれていること
④ さらに、その上で、伴侶や家族のより一層の「真実の愛」に包まれていること
⑤ さらに、その上で(あるいは、①②③を犠牲にしても)、真善美・理想・生きがいなどを共にする伴侶・家族との愛に包まれていること
⑥ さらに、その上で(あるいは、①②③を犠牲にしても)、真善美・理想・生きがいなど、より高く深い精神的充足を共にする伴侶・家族との愛に包まれていること
⑦ さらに、その上で(あるいは、①②③を犠牲にしても)、真善美・理想・生きがいなど、より高く深い、さらにより深く高い精神的充足を共にする伴侶・家族との愛に包まれていること
⑧ さらに、その上で(あるいは、①②③を犠牲にしても)、真善美・理想・生きがいなど、より高く深い、さらにより深く高い、さらにさらにより深く高い精神的充足を共にする伴侶・家族との愛に包まれていること
これら8段階ですが、どこまでのレベルを人生で求めているか、どこまで求めるかは、どうやらある程度生まれつきのものだそうです。
そこがマズローとの相違点。成長によって階段を上がるのではありません。
この幸福8段階の根拠は、30年以上の経験で、多くのクライアントの傾向から導いたそうです。
あなたは、自分がどのレベルだと思いましたか?
この幸福のレベルは、物質的な②の富や名声よりも、③の愛がある世間並みの豊かさがのほうが上位の幸福であり、さらに④の愛の方が高次の幸福だと示しています。
そして周りを見ると、たしかに理想、生きがいを求める人には、①~③を犠牲にしてもいいと思う人がいるという印象です。
日本人が平均的に受け取れるのは、⑤くらいまで。しかし潜在的に望んでいるものは、もっと高い場合もあるようです。実際には人生で ⑤以上を達成するのは、難易度は高いようです。
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2019.06.18
2015.07.17
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。