「働き方改革~生産性を上げる」というサービスやソリューションがあふれるほど出ている。生産性の定義には様々なものがあり、厳密に言い切ることはできないが、基本的に労働生産性の分母は付加価値であり、生産量ではない。労働生産性を向上させるために必要なことは付加価値(利益)を上げることだ。
確かにICTの導入による効率化も重要だし、働き方の多様化も必要だろう。効率化すれば多少の利益は増えるかもしれないし、少ない労働力を確保すればアウトプットが増えるかもしれない。しかし、効率化のための投資が回収できる保証はどこにもないし、取り入れた労働力がすぐに力を発揮できる仕事が常にあるとは思いにくい。
現状の中小企業のB2Bビジネスをとりまく環境は楽観視できるものではない。デフレ傾向は続いている。
ではどうすれば付加価値を上げることができるか。
生産性向上の論議は、大半が自社内のものであり、いかに効率化を図るかばかりに視点がいっているが、B2Bにおける価格の決定権は基本的にクライアント側にある。
つまり、その仕事に付加価値があるのかどうかは顧客(クライアント)が決めるということだ。現在の労働生産性向上論議は、内側の話ばかりで、顧客の問題解決や顧客の成功によってもたらされる付加価値の拡大に関する論議はほとんどない。
顧客の本当の課題の理解、課題に対する解決策の作成、実施(提供)する以外に、付加価値の増大はないだろう。
自社のサービスや商品では顧客の満足に対応できていないところは何か、顧客がさらに満足し、顧客の成長につなげるためには何を提供すればいいのかに応えなければならない。
ただし、他社との同じ土俵や同じサービス内容だけで勝負していたのでは、価格競争に陥ってしまい、むしろ、付加価値は減少してしまう。
ここに、中小企業の厳しさがある。ルーティンの仕事だけこなしていては、付加価値は下がってしまう。
いかにクライアントのニーズ、課題、成長への問題解決を正しく理解し、正確な問題認識・分析スキルを持ち、それに対するソリューション案を質、量ともに出し続けること、そして案を出し続けるために、身となる知識、スキルを自分自身に与え続けること、これらの蓄積以外に付加価値を出し続けることはできない。
コヴィー氏が「7つの習慣」で語った、「緊急ではないが重要な第Ⅱ領域活動」とはまさにこのことであり、だから、毎日「第Ⅱ領域活動」を行い続けなければならないのだ。
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