「働き方改革~生産性を上げる」というサービスやソリューションがあふれるほど出ている。生産性の定義には様々なものがあり、厳密に言い切ることはできないが、基本的に労働生産性の分母は付加価値であり、生産量ではない。労働生産性を向上させるために必要なことは付加価値(利益)を上げることだ。
労働生産性の分子は付加価値
「働き方改革~生産性を上げる」というサービスやソリューションがあふれるほど出ているが、その手段はICTを活用して働き方を変え生産性を上げましょう、仕事を効率化して残業を減らし働く人たちの負荷を減らそう、あるいは、働き方に多様性を持たせることで女性や高齢者が働きやすい環境を用意することで働き手に様々な選択肢が生まれ、多様な労働力を確保する(生産量を上げる)、というというものが大半を占める。
生産性の定義には様々なものがあり、厳密に言い切ることはできないが、基本的に労働生産性の分母は付加価値であり、生産量ではない。
一人当たり労働生産性=付加価値額/従業員数
原価割れした商品を大量に売っても生産性はマイナスであり、労働生産性を向上させるために必要なことは付加価値(利益)を上げることだ。
ただし、付加価値(利益)といっても営業利益のことではない。付加価値とは投下する労働にあたる「人件費」と労働の投下によってもたらされた「利益」となる。
付加価値額=人件費+支払利息等+営業外利益(不動産など)+租税公課+営業純益
さらに、人件費にも付随する費用がたくさんあり、法定福利費(社会保険)、福利厚生費、研修教育費、会議費・接待交際費、旅費交通費などがある。
付加価値とは、売り上げから原価などの変動費用+減価償却費(原価の一部と考えるのが妥当といえる)を引いたものと考えてもよい。
この労働生産性には、今懸案事項となっている「残業」も大量に含まれているので、より重要な指数は、また、1人1時間当たりの付加価値(労働生産性)、つまり1人の社員が1時間働いて生み出す会社の付加価値ということになる。
付加価値であるかどうかは顧客が決める
問題なのは、分子が売上ではなく付加価値だということだ。
B2Bのビジネスにおいて、特にナレッジワーカーのビジネスの場合、付加価値(利益額)を他社に比べて上げるために最も必要なことは、顧客の満足度を高めることだ。
顧客の仕事に対する満足度、仕事への評価が売上金額(利益額)のアップにつながることが少なくなく、なかでもコンサルティング業務や企画系の仕事の場合は特にそうだろう。
よく言われる「定価はあってないようなもの」というような仕事だ。
こうした業種では、会社の中の経費は人件費が大半であり、多いところでは7割近くを人件費が占める会社も珍しくない。
そういう会社で、一人当たりの付加価値が600万円とか700万円しかないとすれば、そもそも社員への給与だけでいっぱいいっぱいになってしまう。
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