2018年のプロ野球日本シリーズは、パリーグ2位から勝ち上がった福岡ソフトバンクホークスが、セリーグ優勝の広島東洋カープを破り日本一を決めた。 昨今、プロ野球人気が沸騰しており、また両チームともに西日本きっての人気球団。シリーズ観戦チケットはプラチナチケットとして、入手困難を極めた。 そのホークスの本拠地球場である福岡ヤフオク!ドームをはじめ、プロ野球数球団がユニークなチケット販売の方法を導入し、注目を集めている。 その名も「ダイナミックプライシング」。いったいどのような手法なのか、さっそく見てみよう。
AI型ダイナミックプライシングのメリットと問題点
AIに基づくダイナミックプライシングを活用すれば、膨大なデータを瞬時に分析し、適切な販売価格をリアルタイムで設定することができる。そして、それを繰り返していくことにより、AIが学習体験を積み重ね、より精度の高い価格設定ができるようになる。
適正な販売価格は、在庫減少に役立ち、商品やサービスを提供する側にとっての損失軽減につながる。さらに、企業側にとって利益の最大化が、ダイナミックプライシングの最大のメリットといえるだろう。
その一方で注意しなくてはいけないのは、「不公正な取引方法」につながりかねない危険性もはらんでいることだ。
他社が同様のサービスを提供しているような場合、そのサービスと重複する部分だけ格安にし、他の部分で値段を釣り上げて収益を上げることもできることになるからだ。
あるいは逆に、他社との競争をやめて他社と同じような価格に揃えることで、カルテルに問われかねない事態も発生するかもしれない。これらはAIに行わせるアルゴリズムによって、変わってくる。
AI頼みではなく、利用者が納得する価格設定が大切
いずれにせよAIによるダイナミックプライシングは、今後さまざまな分野に、ますます広がっていくと思われる。そこで重要なのは、利用者の利益も十二分に考えたうえで行い、利用者が納得できる価格を設定することだ。
例えば、コンサートやスポーツ等の興行で、当日や前日に売れ残っていたチケットを格安で販売したら、正価で購入した人から不満の声が出るだろう。それでは利用者が納得できるサービスにはならない。
データに頼ったAI頼みの分析で生じる齟齬や、ユーザ側の不満……。これらをなくすには、どのようなデータを活用し、AIに分析・反映させるか、あるいは、利用者の価値観をうまく取り入れ、より多くの人が納得できる価格設定が必要になってくる。
そこにはやはり、人間の感覚、判断が求められるのかもしれない。
≪記事作成ライター:三浦靖史≫
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車など。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
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