いま、自動車業界は“激変のとき”を迎えています。 「自分の車を所有することを喜びとし、その車が持つ個性豊かなドライビングを楽しむ」……。従来の車に対するマインドが、インターネットに常時接続された車やライドシェアの登場によって「優れた価値を持つ移動手段を得る」という方向に変化しつつあります。 こうした未来系のモビリティーサービスの最たるものが自動運転車であり、現在、大手自動車メーカーからIT系などの多種多様な異業種が参入し、競争が激化しています。 自動車業界はどのように変化していくのか。自動運転車で抜きん出るGoogleの歩みを中心に紹介しましょう。
快適に移動できるサービスにシフト
「CASE」という造語をご存じでしょうか。
C=コネクティビティー(接続性)
A=オートノマス(自動運転)
S=シェアリング(共有サービス)
E=エレクトリックモビリティー(電動化)
「CASE」は上の4つの言葉の頭文字をとったもの。次世代自動車産業を指し示す造語として注目されています。この言葉は、2016年のパリモーターショーで、独ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOが語ったことで注目されました。
自動車メーカーはその存在意義を「車の製造・販売」だけでなく、「快適に移動できるサービスの提供」に再構築する流れにあります。クルマが提供するものがモビリティー(移動手段)サービスとなるとき、CASEに象徴される技術、つまり人工知能をはじめとする先端科学技術を用いた、まったく新しい価値を持った自動車の誕生が期待され、それはGoogle、appleをはじめとする異業種の台頭に象徴されているといえます。
未来の車「完全自動運転車」をめざす
数年前まで考えられなかった未来の車 ── それこそ自動運転車といえるでしょう。
究極的には、自動車は運転するものでなく、ひとつのプライベート空間へ変化しようとする現在、自動運転車の分野において頭ひとつ抜けているGoogleは、今から約10年前の2009年時点で、すでに「自動運転をめざす」と宣言していました。
毎日新聞(2017年1月8日)によると、発案は共同創業者のセルゲイ・ブリン氏。自社の巨大な駐車場をながめていた時にそれを思いついたと言います。
──眼下の駐車場に停められた車は、通勤で使われる以外は長時間駐車されているだけ。もし、完全自動運転が実現すれば、持ち主が使わない時間帯は自分で街中を走りまわり、無人のタクシーとして活用できる──。ブリン氏の発想は、人を補助する車ではなく、完全なる自動運転をめざしていたというわけです。
ストリートビューという壮大なビッグデータを持ち、またスマホと連動できる車載OS「Android Auto」の開発・提供で、コネクテッドカー(インターネット常時接続機能を備えた車)分野でも存在感を示しているGoogle。そのGoogleが2018年10月19日、コネクテッドカー分野で日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の3社連合と技術提携したことも記憶に新しいでしょう。
Googleが手がけた「自動運転車開発」の歩み
では、そのGoogleの自動運転車開発の歩みを振り返ってみましょう。
次のページトヨタの本気度が窺える「e-Palette concept」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.09.26
2010.04.20