日本の成長戦略の一環として、スポーツ市場を2025年までに15兆円の市場規模を目指すらしい。アメリカのスポーツ市場が50兆円というから適正なのだろうが、現在の7兆円から何を増やそうとしているのか。
注目は、アメリカのスポーツ観戦の市場だろう。プロスポーツ、大学スポーツの観戦スポーツの収入だ。この中には、競馬場も入っているので考慮すべき部分ではあるが、日本のスポーツの興業が約0.3兆(こまかい分類定義は不明)であるのと相当違う。
実際に、各プロスポーツの観客動員数を見てみると、アメリカのメジャーリーグベースボールは、年間7300万人を集客している。もっとも野球だけを比べれば、日本のNPBも年間約2500万人を集客し、約3分の1と水準を守っている。
問題はそれ以外で、バスケットボールの年間約2100万人、ホッケーリーグの2100万人、アメリカンフットボールの年間約1700万人、メジャーリーグサッカーでも約800万人を集客している。ちなみに日本のJリーグは約550万人とこちらは検討している。
驚くべきは、大学スポーツで、大学アメリカンフットボールは年間約5000万人、大学バスケットボールが約3200万人となっている。日本では考えられない数字だ。一部6大学野球などの人気リーグはあるものの、観客は関係者が多く占める。
ここにリストアップされた人数だけでも、延べ人数、2億人を超えている。これ以外にも、ゴルフ、テニス、バレーボール、陸上、ラグビー、モータースポーツなど、アメリカで人気のスポーツは数えきれない。いかにアメリカの生活の中に、スポーツ観戦がなじんでいるかの証明だ。
これだけの集客力を持つスポーツならば、チケット費用に及ばず、広告収入やグッズの販売、その他のイベントへの誘導など、大きく世界は広がる。
また、大学スポーツが人気あるということは、選手においても、大学からプロへのルートも確率されているということなのだろう。まさにプロスポーツ大国アメリカの真骨頂だ。
この巨大なスポーツ観戦ビジネスの強みは、将来のビジネスへの可能性も広がる。チケットの販売データは貴重なビッグデータとなる。どの情報源からチケットの購入に至ったか、ある試合に来た人がどのようなグッズを買い、次にどの試合を観戦するか、またどのようにSNSとつながり、Webサイトにアクセスしているか、自身はどのようなスポーツを行い、どのような投資をしているか、また、可処分所得の高い人はどこにいるのか、など様々なデータにつなげることが可能となる。スポンサーにとっては、是が非でも欲しい情報だろう。
日本でもおそまきながら、バスケットボールや卓球など、少しずつプロスポーツ界も活気が出てきたが、今後はさらに「魅せるスポーツ」「生活に根差したスポーツ」を提供することに力を注いでいかないと、スポーツの世界は広がらないのではないか。
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