昨今、「コワーキングスペース」と呼ばれるオフィスが非常に増えている。イメージも実態も今風な感覚だ。ここにはどのようなビジネスチャンスがあるのだろうか。
このレンタルオフィスを共同で使うイメージが、シェアオフィスだ。多くのシェアオフィスがフリーアドレス形式でデスクを使用するので、専用スペースはない。会議室などは別途用意されているケースもあり、WiFiやコピー機なども完備され仕事の使い勝手は良い。
ただし、共用だけあって、気は遣う。電話を自由にかけるのもはばかれるし、自分のオフィスという感覚はなく、その点、カフェ利用の感覚に近いかもしれない。なので、自分の基地にする感覚は薄い。
また、情報の管理にも気を遣う。書類やPC画面は基本的にオープンだ。当然、自分のデスクというわけでもないので、自分用に荷物を積めるわけでもない。仕事が順調に進みだせば、資料や書類はどうしても増えるし、必要なものだ。シェアオフィスの利用者で、自宅を書庫代わりに使っているという話をよく聞く。
レンタルオフィス以上に、移動時間やクライアントの近くの仮のオフィスという使い方がポピュラーだろう。
そして今、俄然注目を集めているのが、「コワーキングスペース」だ。今年、WeWorkの進出であっという間にトレンドとなった。ほとんど、シェアオフィスと同じなのだが、何が違うかというとコンセプトが違う。
WeWorkのCEO、クリス・ヒル氏は自社のコンセプトを「コワーキングスペースではなく、グローバルネットワークのコミュニティだ」というように、場所ではなく、コミュニティという「場」を提供しているということなのだろう。メンバー間のコミュニティにとどまらないイベントの開催やカフェやバーなども併設しているところもある。
理想的には、単なるオフィスとして使うのか、新たなコミュニティやシナジーを求めて、積極的にチャンスをつかみにいくのかというお題目となる。といった、いかにもアメリカ人的な匂いがプンプンとするコワーキングスペースだが、意外にこうしたところから新しいビジネスのタネは生まれてくるのかもしれない。
今後はおそらく、ベンチャーキャピタルや大手企業の研究施設、イノベーションの基地としての活用が増えていくのだろう。
ここにきて、様々なサービス形態が提供され始めたオフィス市場。1棟借り、1フロア借りといったこれまでの慣習がいきなり変わることはないだろうが、少なくとも、新規事業や新たなビジネスを興そうとする際、「場」という新たな機会、視点が生まれるのかもしれない。
そして、そうした「場」を提供するビジネスも、新たなビジネスチャンスとしてしばらく注目を集めると思う。
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