大企業と小規模事業者との格差が広がるばかりだ。イノベーションはむしろ小規模事業者から起こるのであって、小規模事業者こそ日本の成長のタネだ。
格差が広がる大企業と小規模事業者
大企業と小規模事業者の差が歴然だ。
先日発表された、「小規模企業白書」を見ても、小規模事業者の「業況判断DI」は、改善しているとはいえ、二けたのマイナスだ。しかも、建設業だけが大きくプラスで牽引している結果でこうである。
一方、大企業は絶好調だ。こちらも日銀の発表によれば、2カ月連続のマイナスとはいいながらも、大企業製造業の業況判断指数(DI)は、なんとプラス21だ。
また、中規模企業と小規模企業の差も広がり始めている。
中規模企業と小規模事業者の設備投資の推移をみると(財務省「法人企業統計調査年報」)、昨今は、中規模企業の設備投資額は伸びている一方で、小規模事業者では2014年度をピークに減少しており、中規模企業との差が広がっている。さらに、小規模事業者の数は大きく減少し続けている。
こうした状況を見ても、約1000万人(従業員29名以下では1500万人)いる、小規模事業者の就業者は厳しい毎日を過ごしている。
小規模事業者(特にB2B)においては、少ない顧客を大切にしながら、大手にはできないこまやかなサービスを展開しながら、なんとか事業を継続している。小規模事業者といってもライバルは大手、中小も含む。顧客から見れば、発注する会社は自分たちのような規模の事業者とは限らず、大手、中小企業と真っ向勝負しなければならない。つまり、組織力や大手企業との企業としての関係性が、競合大手に比べると強くない分、より強い差別化要因を探し出し、訴求していく必要がある。
イノベーションはむしろ小規模事業者から起こるのであって、小規模事業者が元気になることこそが、全体が元気になる。
基本に立ち返る
そのためには、今一度、マーケティングの基本に立ち返り、自社(自分)が本当にやるべきことを明確にするべきだ。
それには、フィリップ・コトラーが提唱したフレームワーク「STP戦略」による分析が効果的だ。
「STP戦略」とは、マーケティング・プロセスの6つ、①マーケティング環境分析と市場機会の発見、②セグメンテーション(市場細分化)、③ターゲティング(市場の絞り込み)、④ポジショニング、⑤マーケティング・ミックス(4P)、⑥マーケティング戦略の実行と評価、のうち、3つ、「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」に注力するマーケティング戦略のことだが、今の時代だからこそ見直すべきフレームだ。
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2018.09.16