フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

2018.06.29

ライフ・ソーシャル

フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
株式会社アシロ

フレックスタイム制とは、定められた労働時間の中であれば、労働者自身が出社時間と退社時間を決めることのできる、変形時間労働制のうちの一つです。フレックスタイム制という特殊な勤務体系によって様々な問題が出ているのも現実です。今回は、フレックスタイム制の仕組みと、それに関連したメリット・デメリットを解説していきます。


フレックスタイム制でも残業代は出る

上記でも説明したとおり、フレックスタイム制の労働時間の基準は、清算期間による総労働時間になります。これを、週で設けている会社もあれば、月で設けている会社もあります。

この総労働時間を超えると、フレックスタイム制でも残業代は発生します。

1日の労働時間は基準にならない

フレックスタイム制では、例え1日12時間働いていても、月(週)トータルで総労働時間内に収まれば残業をしたことにはなりません。例として、1周間の総労働時間を40時間としていたとします。

すると、以下のような働き方でも、40時間を超えていないので、残業代は発生しません。

清算期間での総労働時間を超えると残業代が発生する

ですので、何度も繰り返しますが、会社で決めてある清算期間での総労働時間を超えた場合に残業代が発生します。確かに、1日12時間働いても残業代が発生しないこともありますが、フレックスタイム制の下で残業代が出ないということではありません。

残業時間の経緯算方法は簡単ですね。実労働時間-清算期間での総労働時間になります。

残業時間は繰越できない

総労働時間に満たなかった場合、翌月に繰越できると上記でも触れました。フレックスタイム制で、総労働時間を超えた(残業)月があれば、翌月の総労働時間を減らして、残業代を払わないということが考えられますが、これは禁止されています。

言い方を変えると、総労働時間の前月繰越ですが、禁止です。もし、その月に総労働時間を超えたのであれば、その月に必ず残業代を払わなくてはなりません。

未払いの残業代を請求する場合

もし未払いの残業代請求を検討しているのなら、1番最初に考えなければならないことは証拠集めです。そして、証拠を集める上で以下のことに注意をしてください。

  • 証拠集めは慎重に!隠される可能性がある
  • 自分の手元にコピーがあることが最低条件
  • 証拠がない状態で未払い請求は勝ち目がない

この3点を覚えておきましょう。

証拠になるもの

  • 雇用されたときの書類
  • 就業規則のコピー
  • 始業・終業時刻を立証する資料
  • 業務用メールアカウントの送受信記録履歴
  • 残業時間中の労働内容を立証する資料 など

フレックスタイム制の場合、タイムカードなどがない場合も考えられますので、どういったものが代用できるかは弁護士などの専門家を交えて進めていただくのが良いかもしれません。

残業代請求をするなら2年の時効に注意!

労働基準法第115条には「賃金や災害補償その他請求権は2年間」と定められていますので、ひょっとすると、請求できるはずだった過去の未払い残業代がどんどん減っていくのです。

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