先日発表された、日販による『出版物販売額の実態』によれば、出版物の売上の低下が止まらないようだ。ここ20年間で約半減。業界としてはひん死の状態だ。 この先どうなるのか、市場として成り立っていくのだろうか。
活字への触れ方、読み方が変わっているのだから、提供するコンテンツ、プラットフォーム、商流は変わるのが当然だ。
その証拠に、ほかのコンテンツビジネスの市場は、変化を続けながら全体では規模を拡大させているところも多い。
まずこれも厳しいと言われる新聞は、ピーク時には、5000万部以上を誇っていたが現在は、4000万部を少し超える程度。低下は激しいが紙の出版物ほどではない。
ただし、新聞協会経営業務部によれば、1世帯あたりの部数減は激しい。ピーク時には1.2近かったのが、現在は0.8を切っている。朝日と日経、読売と報知などの複数契約が減少しているということか。
また、これは単身世帯の増加とスマホによるニュースサイト(なんと無料)も無関係ではないだろう。
株式会社 ICT総研の「モバイルニュースアプリ市場動向に関する調査結果」によれば、ニュースアプリの利用者は2016年度末に4,093万人に達したという。
2013年度末に1,294万人、2015年度末に3,378万人。今後はさらに増加していくだろうと、同総研は述べている。
もはや完全に、新聞・雑誌などの紙媒体から、モバイル端末上でのニュースコンテンツ利用が主流となってきたようだ。さらに、ブラウザ上での閲覧から、アプリによる利用が拡大する、ともしている。
さらに、ゲームコンテンツ市場を見てみると、国内のゲーム市場は伸長し続け、2016年は過去最高の1兆3801億円に達するとしており、なんと紙の出版の総売り上げに追いつこうという勢いだ。
つまり、ユーザーは、情報やコンテンツに対するニーズは変わっていないどころか増加しているわけで、出版業界は、端末やネットワーク技術の進化に、コンテンツの加工・編集技術がついていっていないと言われても仕方のないことかもしれない。
映像業界が、不況と言われながらも、新たな技術の導入やさまざまなヒット作によって、市場規模を維持していることを考えれば、出版業界においてはまだまだ改善の余地はあるのだろう。
完全にユーザーの生活の中心をスマホに奪われてしまった今、出版の復活は、マーケティングにおいてもプロダクツにおいても、デジタル端末との連動、メディア間の連携を図りながら活路を見出していくしかないだろう。
もちろん、商流のイノベーションは不可欠だ。本好きの日本人だからこそ、20年後には、かたちと商流がまったく今と異なる状態で、活気あふれる市場となっていることを願いたい。
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