先日発表された、日販による『出版物販売額の実態』によれば、出版物の売上の低下が止まらないようだ。ここ20年間で約半減。業界としてはひん死の状態だ。 この先どうなるのか、市場として成り立っていくのだろうか。
先日発表された、日販による『出版物販売額の実態』によれば、出版物の売上の低下が止まらないようだ。ここ20年間で約半減。業界としてはひん死の状態だ。
原因としてよく言われるのは、電子書籍と中古市場だが、インプレス総合研究所調査によれば直近2016年度(2016年4月1日から2017年3月31日まで)の日本国内における電子出版市場は2278億円。中古市場に至っては、781億とこちらも減少傾向。出版というカテゴリーをカバーするほどの市場規模ではないと言えるだろう。
アメリカの場合はどうかというと、2013年の段階で、書籍全体の市場規模は、約270億ドル(日本円で約3兆円)。ここ10年程度は減少傾向ではあるものの、横ばいといった状況だ。
アメリカといえば、オーディオブック市場が1600億円程度あると言われているが、日本はまだ50億程度、シェアと呼べるほどの数字ではない。
書籍をとりまくメディア、流通ルートをすべてあわせてもマイナスということは、書籍というプロダクトそのものが力を失っているということか。
ただし、アメリカとの比較でいえば、日本との人口比率を考えると日本人の本好きがよくわかる。ピーク時はほぼ同等の市場規模だったということだ。日本でこのまま市場が衰退してしまうと困る人がたくさんいるのだ。
経済産業省商務情報政策局 経済産業省商務情報政策局 文化情報関連産業課「出版産業の現状と課題」から引用すると、これまでの紙の書籍は、以下のような流れで、作家からの作品が、消費者まで届く流れになっている。
経済産業省商務情報政策局 経済産業省商務情報政策局 文化情報関連産業課「出版産業の現状と課題」から引用
Amazonのようなインターネット小売りは、書店(場合によっては取次ぎも)を飛ばしたルートであり、出版社からダイレクトに書店に届けるケースも増えている。
電子書籍は、通常出版社から、Amazonなどのプラットフォームを利用して消費者へ届くため、これも取次ぎ(電子出版の取次ぎは存在する)と書店を飛ばす。
さらに作家が直接プラットフォームに流すケースもある。
要はこのビジネスモデルが崩れ、取次ぎと書店が食えなくなっているという話なのだろう。その証拠に、東販、日販を中心とする取次ぎとそこから仕入れて売る書店と、コンテンツホルダーとしての出版社、電子コンテンツを開発、販売する会社との将来への見通しに関する温度差はかなり大きい。
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