2017年11月8日に発表された景気動向指数で、内閣府は9月の基調判断を「改善を示している」と据え置きました。 2012年12月以来、景気拡大は4年10ヵ月に達し、1965年から4年9ヵ月にわたり景気拡大が続いた「いざなぎ景気」を抜いて、戦後2番目の長さとなりました。しかし、景気が上向いているのなら、その回復基調に準じて給料も上がっているのかというと、いちがいに「そうだ」とは言えなさそうです。さらにネット上では、「いったいどこの異世界の話ですか?」といったコメントや、「景気回復の実感なんて全然ない」といった声が圧倒的多数を占めていて、様々な機関が実施したアンケートなどでも、多くの人がその恩恵にあずかっていないようですが……。
給与は上昇傾向にあるものの、伸び率はそれほどでもない
今年9月、国税庁が発表した「平成28(2017)年分民間給与実態統計調査結果」を見ると、2016年の年間平均給与は422万円となっています。これは、いわゆるサラリーマンの平均年収です。
■男女別でみると、男性521万円に対して、女性は280万円
■正規・非正規でみると、正規487万円、非正規172万円
いずれのカテゴリーも前年と比較すると増加はしていますが、その伸び率はそれほど大きくありません。2013年度以降マイナスにこそなっていませんが、2015年分は1.3%だった伸び率が、2016年分では0.3%といった具合であり、グラフを見てもわかる通り、2012年以降平均賃金は上昇傾向にあるものの、リーマンショック以前の水準には戻っていないようです。
私たち庶民にとっては、食品をはじめ多くの商品で、値上げのニュースにも事欠かない毎日だった2017年。これでは「生活がよくなった」という実感がわかないのも、仕方がないことかもしれません。
利益剰余金も406兆2348億円と、過去最高を記録
また、財務省が9月に発表した企業の利益剰余金も、406兆2348億円と過去最高を記録しています。こうした現状からも「企業はその利益を、働く人々に還元していない」という印象を多くの人が抱いていることは間違いありません。
さらに、先の衆議院議員選挙では企業の内部留保への課税が話題になりましたし、つい先日も、賃金や設備投資が不十分な企業に対して、法人税の軽減措置の縮小・取り消し制度が検討されている……とった報道もなされました。各企業が資金を市場にまわすよう、さまざまな施策が検討されていているようなのです。
しかし、こうした動きがあるからといって、来月から給料が増えるかといえば、そんなことはありません。こうした動きが企業の経済活動の妨げとなってしまえば、景気回復に水を差す結果にもなりかねません。やはり、よりよい収入を目指すには、自分で行動を起こすしかなさそうなのです。
有効求人倍率1.52倍。転職の好機は続く
いま働いている企業で収入増が見込めない場合、その対策としてまず考えられるのが転職です。
より待遇のよい企業に移る……。ひと昔前までは、一度入社したところで定年まで働くことが一般的ではありましたが、終身雇用制度が崩壊したいま、転職はキャリアアップを考えるうえでも、ごく当たり前のことです。
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