調達購買改革は従来の第一ステージから第二ステージに移行しつつあります。そこでのポイントは「考えられる組織」と「層別化・重点化」です。
ここ数年、毎年末に翌年にかけての調達購買の動きについて書いてます。今年も今回の記事で年内最終となりますので来年以降の動きについて私の考えを述べていきましょう。
ここ数年調達・購買分野に対する経営者からの期待やそれに対する調達・購買部門の動向を一言で言うと「とても静かだった」です。リーマンショック後暫くは調達・購買部門に対する期待は高まり部門の強化も積極的に進められました。それが一段落し、静かな進化が続いているように感じます。別の言葉を使えば目立った進化がない、とも言えるでしょう。しかしこういう時期だからこそ、今までの改革の延長線上ではない新しい基軸の改革が進んでいます。特に一部の先進企業においてその傾向が出てきているのです。
2017年の調達購買改革のキーワードは「行動指針」と「キーワード型改革からの脱却」の2つを上げます。
昨年は「調達基盤の確立」というキーワードを上げました。その中で「調達購買部門の本来の役割・目的は『サプライヤとの強固な信頼関係づくり』であり、『サプライチェーン全体で競争力強化に貢献すること』である」と述べています。しかし企業毎にこの「調達基盤の確立」の方向や方針は異なってくるでしょう。そこで重要な役割を果たすのが「行動指針」です。
「行動指針」とは永劫的に共有する価値観や心構え、行動の指針となるもので、クレド(信条)に近いもの。このようなクレド(信条)を作成することで部門長が考えている「ぶれない芯」を多くの部員に対して伝えていくことが行動指針作成の目的です。
「行動指針」作成のポイントは3つあります。1点目は「シンプルで分かりやすい」こと。行動指針というと耳障りがよい言葉をたくさん並べたくなりますが、分かりやすく伝えやすいものとするためには「シンプルで分かりやすい」ものがいいでしょう。
2点目は「調達部門のコアミッションを提示」することです。調達購買部門の「コアミッション」は各企業によってちょっとずつ異なります。ある企業は「テクノロジー」にフォーカスしTQCDの順番に優先順位を定義しています。つまり調達購買部門の仕事をテクノロジー開拓と位置づけ、日々活動をしているのです。またある企業はサプライヤを単なる取引先として捉えるのではなく、パートナーとして捉え、真の意味で共存共栄を図ることを目的と捉えています。
3点目は「部門長の思い」を伝えること。すぐれた行動指針は部門長自らの思いをバイヤーに共通の価値観として伝え、その価値観を共有することができます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2017.02.01
2018.01.25
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。