営業利益率50%強、日本の製造業ではダントツの高収益を誇るキーエンス。同社はまた、30歳代で1300万超のスーパー年収でも知られる。謎に包まれた実態に迫るため同社から話を聞いた。
限りなく高いハードルを設定し、それをクリアするのにふさわしいエリート集団が携わってはじめて開発される新商品、だからこそ世界初・業界初の連発となるのだろう。
■問題解決策の提供が営業の役割
こうしたキーエンス流商品開発を成功させるためには、顧客の現状を熟知することが大前提となる。何しろ「顧客自身が未だ気付いていない問題を探り当てる」のだ。そこで強力な武器となっているのが同社のコンサルティング営業である。
キーエンス営業マンの行動は生産財メーカーとしては特異と言っていい。通常の営業のように顧客の商談室で購買担当と膝付き合わせ、単純な価格交渉をやり合うのではない。彼らが向かう先は商談室だけではなく主力商品センサが実際に使われる現場、すなわち生産ラインにも入っていく。
なぜなら問題は必ず現場にあるからだ。
歩留まりを上げるために、コストを下げるために生産ラインは常に「カイゼン」を意識している。少しでも生産効率を高めるための取り組みに日々鎬を削っているのが現場だ。その現場をキーエンスの営業マンはつぶさに観てまわる。ラインで働いている人の話に熱心に耳を傾ける。どこに、どんなセンサがあれば顧客の生産性が上がるのか。問題意識をこの一点に集中させて。
もとよりラインに携わる顧客エンジニアは設備のプロである。自社の生産ラインについては、その問題点も含めて熟知している。しかし、顧客はセンサや測定器についての専門家ではない。工業系大学といえどもセンサについて詳しく学べるところはまずない。だからセンサが生産性向上に果たせる役割をそう簡単には想定できない。
ここにキーエンス営業マンの存在価値が生まれる。
彼らが提供する価値は、センサ活用による顧客の生産性向上である。ソリューションポイントを発見するために彼らは現場にこだわる。生産ラインでモノがどう流れているのか。どこに、どんなセンサがあれば生産効率が高まるのか。生産ラインの設計図を眺めるだけでは浮かんでこない問題が、現場ではくっきりと見えてくる。
こうして現場で拾い上げた顧客さえ気付いていないラインの問題こそが次の商品開発の有望なヒント。これをもとに開発される商品は顧客にとって非常に価値の高いモノとなるはずだ。その価値を認めるからこそ、対価が少々高くても顧客は文句をつけることはない。
しかも、そもそもセンサ自体は数万円から数十万円のものが多い。これで何千万円もする生産ライン全体の生産性が上がるとなれば、その費用対効果は極めて高い。顧客は納得済みでキーエンス商品を買い入れる。これがキーエンスの高収益を生み出す仕組みである。
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FMO第4弾【株式会社キーエンス】
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