2015年は「日本のVOD元年」だったか

2015.12.04

営業・マーケティング

2015年は「日本のVOD元年」だったか

動画広告・動画マーケティング専門メディア VIDEO SQUARE編集部
Crevo株式会社

2015年になって、映像配信ビジネスは急速に進歩を遂げています。海外からの大手参入も相次いだことから、2015年を「日本のビデオ・オン・デマンド(VOD)元年」とする声も大きいです。ただ、実際には、日本は10年以上前からVODに取り組んでいました。それが泣かず飛ばすであったのが、日本の不幸とも言えるでしょう。



オリジナルコンテンツ対テレビ番組の競争が激化

とはいえ、現在のところ、日本でのSVOD事業は、まだ「ブーム」というほどの熱狂には至っていない。背景にあるのは、日本市場の「有料放送」に対する心理的ハードルだ。日本は無料の地上波放送が強く、衛星やケーブルテレビなどの有料放送の利用率は、人口の5%以下と低い。同様に、毎月映像にお金を払うSVODの利用には、それなりの心理的ハードルがあると考えられている。

そこを突き崩すには、魅力あるコンテンツの存在が不可欠だ。

コンテンツ展開には2つのパターンがある。

一つは「オリジナル作品」の制作。特にNetflixとアマゾンを中心とした海外勢は、資本力を背景に、付加価値の高いコンテンツで攻めようとしている。両社はアメリカでも良質のオリジナルドラマを量産し、それで顧客獲得をしており、その戦略を日本でも継続する。Netflixは目玉として、吉本興業とタッグを組み、あのベストセラー「火花」の映像化を行う。

アマゾンは現在製作中の20タイトルのうち、10が日本を念頭に入れたコンテンツだとしている。当然、彼らのパートナーは番組制作会社やテレビ局になるが、彼らにとっても、ネットオリジナル作品は、制作資金があって注目度も高く、時間や表現での制約が小さく、取り組み甲斐のある題材だ。

もう一つが「テレビ番組」の配信だ。

2015年はテレビの視聴率低下が著しい年でもあった。それに伴い、広告料収入も減っている。ネットと広告費の奪い合いが本格化し、テレビ局としても、「テレビは生で見るもの」とカラ元気を出している場合ではなくなっている。

そこで使うのが「ネット」だ。広告を見せる代わりに、次回の放送までは無料で番組を視聴できる「見逃し配信」を秋より本格展開している。

これは、広告費ベースのVODそのものだ。一部番組にではあるが、視聴率や視聴量の形ですでに成果は出始めている、との評価も耳にする。さらにSVODでは「これまでに放送されたすべての回」を見られるようにすることを売り物にできる。特にHuluを傘下に持つ日本テレビは積極的で、海外勢に対する差別化ポイントとして活用している。

2016年は、日本でも「ネットでの映像配信」が本格的に市民権を得る年になるだろう。そこでは、ネット発のオリジナルコンテンツと放送発のコンテンツが並列に並び、人々の余暇を奪い合うのは間違いない。

(文=西田 宗千住)

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