「プロジェクトを失敗させない秘訣は目標を設定しないこと」という笑えない冗談もありますが、企業研修においてもそれは同様です。意識してか無意識にか、あえて曖昧な目標を設定し、後追いで都合のよい評価を行うことで、結果的に高い評価の研修をつくることもできます。 本稿では、研修の企画担当者としてあるべき評価について考えていきます。
評価とは、基本的には次回の研修をよりよくするために実施します。そこにはもちろん担当者のスキルアップも含まれるかもしれませんが、主たる評価対象は、企画や設計、実施や運用の適切さとなります。
仮に、研修参加者が企画時に目標としたスキルレベルに到達しなかった場合、提供する知識の量や内容手段は適切であったか、評価方法としてのテストは適切であったか、研修前の参加者への働きかけは適切であったか、そもそも時間的な制約や対象者像からして目標は適切だったか等を評価し、原因や改善策を検討することに価値があります。
この振り返りの重要性は1回限りの研修であったとしても、また目標を達成していたとしても同様です。しっかりと振り返り、そこから関係者が学びを得ることが、次回以降の成功の確率を高め、組織の力となっていくのです。
担当者がどれほど心情的に反省したとしても、具体的な道筋が見えていなければ組織にとっては価値はありません。一方、例え今回は目標に届かなかったとしても、次回以降に目標に届く手がかりが十分に得られたのならば、それは組織にとっても価値のあることなのです。
ここまできて身も蓋もない話で恐縮ですが、研修とは多くの人が関わる不確実性が高いものですから、失敗自体をなくすことはできません。
タイトルとした「失敗させない研修企画の秘訣」ですが、1つは曖昧で評価不能な目標を設定することですが、これは担当者の姿勢やスキルという面でよい評価は得られないでしょう。
もう1つは、例えその回は目標に届かなくても、次回以降の成功の確率を高める価値ある知見を組織に残すことで、失敗を失敗で終わらせない、という姿勢であり仕組みではないでしょうか。
以上、長らくお付き合いいただきましたが、みなさんの研修企画実務のお役に立てば幸いです。
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学ぶ力の育み方
2015.07.01
2015.08.31
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。