バズワードが刻々と変化する中、Makersムーブメントとよばれた動きは、落ち着きを見せてきました。一方、Makersの役割の担い手が、これまでのギーク的な男性から、雑貨・アクセサーリーを中心としたハンドメイド型の女性へとシフトしつつあります。その意味合いはどこにあるのでしょうか。ここ2-3年の変化と、今後の方向性を解読します。
パーソナルなモノづくりが広がってきた
Makersムーブメントは、2012年秋のクリス・アンダーソン著「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」の出版と前後して、非常に注目されました。その後、ブームが一旦落着きを見せ、2015年に入った現在では様相が変わってきています。
当初は、マクロ的な視点から製造業の復活、ものづくり革命など、大企業からモノづくり中小企業まで含めて、工業・製造業の文脈で語られることが多かったように思います。
ただ、最先端で3Dプリンターを活用した教育・研究を推進している大学の先生などをはじめとした専門家の方々や、モノづくりハードウェアベンチャーに関わる起業家の方々の情報発信もあって、マクロ的な視点から、個人的なモノづくりへと、よりパーソナルなものへと視点がシフトしてきました。
FabLab、FabCafe、MONO、しぶや図工室など、個人が身近に3Dプリンターなどのパーソナルなモノづくり工作機械を体験し、モノづくりを体験できる場が国内でも広がってきた。もちろん、当初は流行もの、物珍しさから参加する人も多いと思います。ですが、本質的には、誰でも・個人がモノづくりをできる、自己表現をできるという意味合いが増してきていることが重要なのだと思います。
女性市場的なモノづくりに注目
では、誰でもモノづくりができるようになった時に、人は一体何を作るのでしょうか。
IAMASの小林茂氏は、「モノづくり=なぜ×何を×どうやって」、と説明しています。これまでは、個人がモノづくりをするときに、どうやって作るか(How)の部分のボトルネックが大きかったが、3Dプリンターなどの技術革新により、ハードルが下がりました。
そこで重要になってくるのが、「なぜ」×「何を」の部分だと思います。
男性中心の市場として、上げられるのは日曜大工的・DIY活動などである。3Dプリンターで注目されがちなのは、フィギュアなどがあるが、いわゆるアキバ系サブカルチャーの流れを汲んでいます。どちらかというと、男性中心のオタク市場といえるでしょう。
それとは別に、従来から存在するマーケットとして、ハンドメイド雑貨、アクセサリーなどの女性中心の市場がある。とくに3Dプリンターなどがなくとも、手作りで作るクリエイターや、クリエイターといえなくとも個人的な趣味・楽しみとして作り続けている人たちが存在します。またそれを購入したいというマーケットも存在していました。
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