今度は偽Apple Watch。明らかなニセモノでも売っていれば買う?騙されるだけではないからやっかいなニセモノ市場のうす暗がり。
本当に悪いのは誰なのだろう。偽金貨を使ったり、偽文書で土地の所有権を主張したり相続権を得たりするのは明らかに犯罪だろう。不当な利益を得るために絵画や陶磁器を「ホンモノと偽って」売れば犯罪だろう。だがそれを、ニセモノと知りながら買う人はどうだろう。ささやかなおしゃれのためにフェイクファーを身に着け、それと同じ感覚で偽ブランドのバッグを手にする人に、おそらく悪意はない。ネタのために偽Apple watchをはめて見せる無邪気さを裁くことは難しい。そうしてニセモノは作られ続ける。縄文時代から続く文化なのである。根深いことこの上ない。
政府広報でも『模倣品とは、特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産権を侵害した製品のこと』で『粗悪な模倣品が流通することで、長い年月をかけて築き上げたブランドに対する消費者の信頼感も損なわれる』『軽はずみに模倣品や海賊版を買うことは、犯罪に荷担することにつながる』と、買わないことのキャンペーンを繰り広げるほどに、買う人の自粛を訴えている。裏を返せば、買う人が後を絶たない=市場がある、から模倣品を根絶できないという事実に行政も手を焼いているということだろう。
やはり、ニセモノ市場は犯罪の深い闇というより、人間のささやかな虚栄心や欲望といううす暗がりを想起させる。せめて自分が権利侵害に加担しないように気をつけよう。
ご参考:国立歴史民俗博物館「大ニセモノ博覧会」プレスリリース
(国立歴史民俗博物館は常設展示も面白いのでおすすめ。広くて盛りだくさんなので時間をとってお越しください。)
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