過疎地ベンチャーに学ぶワークプレイス・ワークスタイル最新事情

2014.06.10

組織・人材

過疎地ベンチャーに学ぶワークプレイス・ワークスタイル最新事情

「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire

最近過疎地へ進出する都会のベンチャーが増えている。そして進出企業の一部は、過疎地にサテライトオフィスを開設するだけでなく、更には「働き方(ワークスタイル)」自体に対して先進的な取り組みを進めているようだ。

またサイファー・テックの代表である吉田基晴氏は、美波Labでの地域活動を通じてさまざまな地域課題を目の当たりにしたことから、これら地域課題を解決すべく地域活性を生業とする「株式会社あわえ」を起業した。そしてあわえでは明治時代に建てられた銭湯をリノベーションし、2014年夏からワークプレイスとして運用するとともに、地域住民にも開放するという。

<画像>明治時代に建てられた銭湯「初音湯」(リノベーション前) (写真提供:あわえ)

古くは農業・漁業・観光産業などで栄えた活気あふれる美波町だが、近年は若年層の人口流出や高齢化などを要因に、地域の産業・経済は年々縮小し、それに伴い人の往来も減少するなど町の活気は以前と比べて失われつつある。

そこであわえでは人々の往来を増やす機会を創出し、美波町の活気を取り戻すきっかけにしてもらうべく、まだ各家庭にお風呂がなかった時代には住民交流の場の役割を果たしていた銭湯を、現代の“住民の交流・憩いの場”として開放することに。またあわえのワークプレイスを併設して、住民と社員とが日常的に交流を図れるようにすることで、住民との何気ない会話から新たなビジネスのシーズを探っていく意向だ。

<画像>リノベーション後のイメージ (画像提供:あわえ)

なおあわえには、首都圏から地域活性に使命感を覚えて夫婦で美波町へ移住してきた若者(Iターン)や、首都圏に居住しながら 月の半分を美波町にて勤務する若者(二拠点就業)が勤務するほか、直近では美波町周辺で生まれ育ったものの、地元に職がなかったために東京や大阪など都会に出た若者たちが、地元で働けるのであればとあわえに入社するケース(Uターン)も増えるなど、社員一人ひとりの趣向や状況に応じたワークスタイル・ライフスタイルを受け入れながら、多様な視点から地域活性に取り組んでいる。

■築150年の古民家をオフィスへ、古き“和”と最先端の“IT”が融合!

大阪に本社を置き、クラウドシステムの開発を行っている鈴木商店。代表の鈴木史郎氏は、クラウドシステムを生業とする企業として「どこでも仕事が出来る」ことを実証したいという想いや、社員たちにワークライフバランスを実現できる環境を提供したいという想いからサテライトオフィス開設を検討していたときに、サイファー・テックの取り組みを聞きつけて、2013年夏に美波町にサテライトオフィス「美雲屋」を開設した。

次のページ■まとめ~ワークプレイスは経営者の考えが端的に表れる空間

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