2013.08.19
過疎の町にIT企業やクリエイティブ企業が次々に集結する理由
「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire
<地域再生・地域活性化事例>
そして「一過性のボランティアではなく、持続的に支援するためには収益事業として行うのがベストなのでは」と考えて、吉田氏は地域支援事業を手掛ける株式会社あわえを2013年6月に立ち上げた。
■地域再生に向けて「コト・ヒト・カネ」を活性化
よく企業における経営資源として「ヒト・モノ・カネ」が挙げられるが、あわえでは「コト・ヒト・カネ」を地域資源として捉え、「文化資産(コト)」「地域産業(カネ)」「地域コミュニティ(ヒト)」をそれぞれ保護・振興しながら継承していくための事業を計画している。
現在の美波町は、18歳前後を境に郷里を離れて都市部などへ流出する傾向が高く、そのため生産年齢人口は減少の一途をたどり、高齢者が4割以上を占める状況に陥っている。そこで特に「地域コミュニティ」に力を入れ、企業誘致や起業支援、またそれに伴う移住を促進しながら都市部から若年層を呼び込むとともに住環境・職環境を整備することで、単なる人口増を狙うのではなく「年齢人口構成」の最適化を図るという。そして地域経済を域内・域外の両面から活性化させることで「自立的に持続可能な地域づくり」を実現したいとしている。
(※町人口は2012年6月現在、生産年齢人口・高齢者人口は2010年国勢調査)
「日本全体の人口減少が進行しているなかで、地方の人口減少を食い止めることは正直難しいと思います。したがって単にボリュームを増やすのではなく、若年層を中心に生産年齢人口を増やし、地域運営に最適な年齢人口構成にすることで、地域を再生させたいと考えています。」(吉田氏)
その成果は既に少しずつ現れ始めており、吉田氏の志に共感した経営者たちが次々と美波町への進出を決断している。その一社が、首都圏に拠点を置くデザイン会社・兵頭デザインだ。
兵頭デザインは、フォントデザインやロゴデザインを主要分野としたデザイン会社で、大手メーカーのフォントデザインやロゴデザインを手掛けてきた。その一環としてサイファー・テックの「美波Lab(みなみらぼ)」のロゴデザイン制作を通じて美波町と関わることにより、次第に美波町進出の想いを強め、最終的にサテライトオフィスと新会社を2013年夏に設立するに至った。
デザイン業務は、デザイナー一人ひとりの感性が重要な経営資源と言えるが、「大自然に囲まれた美波町は、デザイナーの感性を刺激し、そして一人ひとりの力を最大限に発揮するのに最適な環境」(兵頭デザイン取締役兵頭将勝氏)と判断してサテライトオフィスを開設。その一方、典型的な過疎地域である美波町の実情を目の当たりにし、「今まで培ったブランディングのノウハウを活用しながら、地域課題の解決に向けて現況に適応した地域づくりに挑戦したい」(同)という想いが湧き上がり、サテライトオフィスとは別に、地域ブランディング事業を手掛ける新会社「Studio23」を立ち上げた。
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