/いまどき作家でプロになっても、まず喰えない。いっそ日曜の趣味と割り切れば、自分の頭ひとつでどこでもできる贅沢な楽しみ。尽きることのない想像の中で、身近な風景が虹色に輝き出す。/
とはいえ、実際に書いてみると、これまたおもしろい。というのも、おうおうに話のつじつまが合わないからだ。だれかがウソをついている、何かを隠しているのかもしれない。いや、自分の知らない間に、それがそうなった重大な出来事があったのかもしれない。さて、それはいったい何だったのか、と探っていくと、いろいろまた裏がわかってきて、興味は尽きない。そうでなくても、場面を書き出してみると、そこに出て来ていない人物たちはどこで何をしていたのか、とても気になるではないか。
小説作りは、一生に一度限りの人生を何倍にも増やす方法。しょせん妄想じゃないか、と言われても、そうだよ、それで悪いか、どうせ趣味の遊びだからさ、というところ。他人の作った売りものの物語を読むのもいいが、そんなものをわざわざ買わなくたって、きみにだって、自分で作れる。そうすれば、もっと身近な風景が虹色に輝き出す。ほら、こんな時間なのに、だれかが玄関のチャイムをならした。さて、いったい誰だろう?
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門 は哲学、メディア文化論。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。