一連の食品偽装事件は、ついにマクドでトドメを刺した。そんな予感がする。その結果、今後重大な変化が起こるのではないだろうか。キーワードは二つ、「偽装」と「法改正」である。
前年対比75%減。全国で工場が建たなくなっている。9月の工場の建築
着工床面積は前年同月比75%減、実に昨年の4分の1にまで減ってしまっ
た。なぜ、そんなことが起こっているのか。理由は建築確認審査に時間
がかかっているからだ。
建築確認審査に時間がかかっている理由は、この6月に建築基準法が改正
されたから。そして建築基準法が改正された理由はとたどって行くと、
昨年日本を騒がせた姉歯建築士による耐震偽装事件に行き着く。
改正建築基準法の影響はもちろん工場建築だけに出ているわけではな
い。むしろ工場建築はメインではなく、それよりももっと甚大な影響を
受けているのが住宅・建築業界だろう。とりわけ地方で木造三階建て住
宅をメインの事業ドメインとしていた中小工務店が壊滅的な打撃を受け
ている。
新築住宅の着工激減がマスコミで騒がれ始めたのが、この2ヶ月ぐらい。
すでに中小から中堅工務店の倒産が地方版のニュースに載り始めてい
る。今回の建築基準法改正にはこうした中小工務店淘汰の狙いがあると
読む筋もある。実際、住宅に関しては大手ハウスメーカーはほとんどと
いっていいほど影響を受けていない。
そうした裏読みはさておき、ここで注目しておくべきは耐震偽装という
国民的な関心を集める事件が起こった結果、法改正が行なわれそれによ
り実害を受ける業種・業態が出ている、ということだ。ポイントは対象
となる事件が国民的な関心を集めるかどうかにある。自分が住んでいる
家の耐震強度を信頼できないとなれば、これは『人の命』に関わる。こ
こである。
『人の命』に関わる事故が起こり、同じように国民的な関心を集め、そ
の結果法改正が行なわれた事例は、耐震偽装?建築基準法改正の前にも
あった。昨年8月福岡で泥酔ドライバーに追突され、幼い子どもたち3人
の命が奪われた事故だ。飲酒運転に対する取り締まりは、この事故以前
からすでにかなり厳しくなっていた。しかし、この事件が決定的な引き
金となって飲酒運転に対しては徹底的な厳罰化が実現された。
もとより飲酒運転取り締まりが厳しくなったために、特にロードサイド
の飲食店は経営的に甚大なダメージを受けている。公共交通機関が発達
している都市部はともかくとして、郊外や地方都市など事実上の交通手
段がクルマしかないエリアでは飲食業界が壊滅的な打撃を受けている。
これまでならクルマで来て、食事やちょっとお酒を楽しんでくれていた
お客さん達がそもそも来なくなる。さらにはお客さんが来てくれても利
益率の高いお酒類を頼んでくれなくなる。経営的にはダブルパンチであ
る。ロードサイド飲食店の多くが業態転換が迫られ、中には撤退、最悪
の場合は事業継承が不可能になったところもある。
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