HEYAZINEは、管理物件・元付け物件だけを掲載する賃貸不動産ポータルサイトである。賃貸360°の開発者が、なぜHEYAZINE開発に至ったかを紹介する。
流通構造を変えることで業界を活性化させる
管理会社とユーザを直接つなげる、というと中間層の中抜きのように感じられ、不動産仲介会社からの反発がありそうだと思われるだろうが、HEYAZINEの取り組みに対する不動産会社からの反応は概ね好意的である。
その理由のひとつには、完全に仲介だけをやっている不動産会社というのは少なく、管理業務も併せて行っているため、管理会社としてのメリットを感じてもらえることが挙げられる。
管理会社の主要なKPIには空室率があるが、流通構造の効率化によって引越しのコストが下がれば、同じ物件により入居しやすくなり、これは空室率を下げることにつながる。
一方のユーザは、もっと柔軟に、自分の気に入ったところに住み替えられるようになり、それによって市場自体が活性化する。流通構造の非効率性は、市場そのものの停滞を招いているのである。
また、非効率性のコストは、実はユーザだけでなく、不動産会社も払っている。これが、HEYAZINEが歓迎されるもう一つの理由である。
複数のレイヤーに対して情報を流通させるために、不動産会社が払っているコストは甚大で、物件情報入力業務、ポータルサイトへの広告出稿料といった多大なコストが発生している。
そういったものを無くして、市場が活性化し、不動産会社としても高い収益をあげられるようになれば、まさにWIN-WINの取り組みではないだろうか。
HEYAZINEが目指す世界
管理会社とユーザと直接つなげる、と言っても、実際には自分で物件を選ぶより、仲介会社に物件を紹介してもらいたいという人もたくさんいる。そういった人達にとって、仲介会社の存在意義はなくならないし、これからも必要とされるだろう。
しかしながら、インターネットが発展を遂げた中で、不動産会社にすべてを任せるのではなく、自分で情報を集めて判断し、自分で気に入った部屋を選びたい、と考える人が増えてきているのも確かだと思う。
そのためには、今の不動産インターネットの世界はあまりに不透明だ。
そういった中で、部屋を借りる人の「不動産リテラシー」を高めて、自分で物件を選べるように、業界の流通構造から変えていくのがHEYAZINEの役目だと考えている。
賃貸360°は、部屋を探す人の“探しやすさ”にこだわった思い入れのあるサイトであるが、こちらは仲介物件がメインのサイトである。ここで掲載物件を管理物件や元付け物件に限定してしまうと、ウェブサイト自体が縮小して無くなってしまうだろう。HEYAZINEのやろうとしている取り組みは、賃貸360°では出来なかったことであり、そのために会社も新しく作って、ゼロから始めたHEYAZINEは、僕にとって再出発とも言えるチャレンジなのである
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2015.07.30
2017.12.06
株式会社インフォアスリート 代表取締役
1976年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修了。ERP導入コンサルタントとして、企業の基幹システムの導入に携わる。その後、独立して株式会社インフォアスリートを設立。