景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 [土肥義則,Business Media 誠]
しかし情報編集力の時代になると、何かが起きても、正解がなくなってしまった。10人いたとしたら、10人とも違う現実を見ている。そこで納得できる解を見つけなければいけません。自分が納得しているだけではダメで、ほかの人も納得できる解でないといけない。この解を導くチカラが、情報編集力になるわけです。
ちょっと質問してもいいですか? ドイさんがタイヤメーカーの社長だとして、これまでになかったタイヤを考えてくれますか? 技術のことやコストのことを気にせずに、発想してください。
土肥:い、いきなりそんなことを言われても……(焦)。
藤原:この質問に対して、1人でどれだけブレストできるのか。または数人をすぐに集めて、ブレストを縦横無尽にできるのか。数人というのは会社でもいいし、友だちでもいいし、インターネットの中でもいい。それによって自分がこれまで考えてこなかった解が、人と人の脳を結びつけることで導き出せるかもしれません。
こうしたチカラを持っている人が、年収800万円以上を手にしていくでしょう。一方で、処理だけに頼っている人は仕事がなくなっていく。なぜなら事務処理はさらにIT化が進み、工場にはロボットがたくさん導入される。単純な処理は、中国やインドといった国に奪われてしまうので、仕事がなくなっていくんですよ。厳しい言い方になりますが、そのおこぼれにあずかろうとする人は、年収200万~400万円になってしまう。
土肥:グローバル化の流れはもう止めようがありませんので、サラリーマンの給料も二極化するということですね。
◆会社は半分になる
藤原:いまお話ししたのは、ひとつの大きな流れで、もうひとつ大きな流れがあります。その流れとは「今後10年間で、すべての業界で会社が半分くらいになる」ということ。またそのうちの半分くらいは外資系になると思っています。
実は、こうした流れは、この15年間の成熟社会の中で起きているんですよ。例えば、金融機関。銀行だけでなく、証券や損保でも、会社の数が減りました。このほかにも流通や医薬業界などでも会社の数が減少しました。今後も各業界で再編の流れは止まらないでしょうね。
これまでは日本という狭いマーケットで商売をしていましたが、それなりに豊かだったので、会社がうじゃうじゃ存在していました。成長社会では“おこぼれチョーダイ”的な会社があったわけですが、成熟社会に突入して、そうした会社が淘汰されてきました。
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仕事をしたら“10年後のサラリーマン”が見えてきた
2013.04.11
2013.03.25