学生の就活が本格化しているが、内定をもらえる人ともらえない人でどのような違いがあるのか。これまでよく分からなかったことが、ビッグデータで明らかになってきたという。就活生の行動を分析している、リクルートキャリアの担当者に話を聞いた。[土肥義則,Business Media 誠]
土肥:最近流行りのビッグデータですね。これまでの技術では管理できなかった膨大なデータを解析して、ビジネスに活用する企業が増えてきました。で、就活生のどんな行動を分析されたのでしょうか?
リク:就活をしていく中で、内定を獲得できるかどうか、就活生の行動にどのような違いがあるのかよく分からなかったので、調べてみることにしました。
土肥:えっ、でも「リクルート=就職情報」というイメージは強いですよ。ほとんどの人が就職の際に、一度はお世話になっているはず。長年の知見を溜めているはずなので、内定をもらえない学生の傾向などはちゃんとつかんでいるのではないでしょうか?
リク:もちろんこれまでも、学生に調査をしたり、インタビューをしたりして、見えてきた部分はあります。ただ、ヒアリングできる学生の数には限りがあり、実際の行動に基づいた細かいところはつかみきれていませんでした。その部分を明確にするために、リクナビに蓄積されている膨大なデータを分析して、それを学生にフィードバックするようにしました。
土肥:分析されて、どのようなことが分かったのでしょうか?
内定を獲得した学生の行動
リク:内定を獲得した学生は、選考が本格化するまでの約4カ月の間に、視野を広げているんですね。多くの企業を調べ、その中から興味の持てる企業を選んでいるので、納得のいく活動になりやすい。また比較して選ぶことになるので、志望動機が明確になりやすいんですね。
一方、内定をなかなか獲得できない学生は、希望する企業のみにアプローチする傾向がうかがえました。そして落ちたあとに、選択肢がない状態の中で、イチから考え直す。こうした行動はものすごく非効率的で、就活が長引く傾向がうかがえました。なぜなら、その間に企業の採用は進み、ますます内定をもらいにくい状況になるからです。
内定を獲得できるかどうかの違いは? と聞かれると、いまでは「『行動量』と『活動時期』に大きな違いがある」と言えることができますね。
土肥:でも「広くから選ぶ」とか「行動量を多く」とか言われても、学生は「どのように行動すればいいのか分からない」といった不安を感じるのではないでしょうか。そもそもほとんどの学生は、就活をするのが初めてのことですし。
リク:その通りだと思います。私たちも「多くの学生がどんな企業にどのようにアプローチすればいいのか分からないだろう」という仮説を立てました。そして、“しっくりくる企業”を見つけてもらうために、学生が企業を志望する「軸」を探しました。
次のページ就活生の傾向を分析
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2010.03.20
2015.12.13