「奇跡の動物園」と言えば、 「旭山動物園」(北海道旭川市) ですね。 では、「奇跡の美術館」と言えば・・・?
では、まるびぃの人気の秘密をご紹介しましょう。
まず、施設について。
まるびぃは、全体の3分の1が無料スペースです。
無料スペースにもいくつか展示物があります。
またレストラン、ミュージアムショップは
無料スペース内にあるので、入場料なしで遊びに行けます。
実際、来場者120万人前後のうち、
有料スペースに入るために入館料を払う人は、
約3分の1、40万人程度だそうです。
東京都内で開催される大型の企画展では、
40-50万人前後の来場者を集めますが、
そのかなりの割合が招待券、
つまりタダ券によるものであることを考えると、
まるびぃの有料入場者が
40万人
もいることは驚くべきことでしょう。
おそらく、無料スペースがなければ、
これだけの来場者も集められないでしょうし、
また、有料来場者も大幅に少ないはずです。
無料スペース=単なる経費、無駄
ではないということです。
この無料スペース、
閉館日の月曜も開放してありますし、
営業時間は朝九時~夜10時まで。
仕事帰りの方でも立ち寄りやすいですね。
この長い営業時間も、
他の美術館では考えられないことです。
次にマーケティング。
蓑館長は、
「子供も楽しめる美術館」
というコンセプトを打ち立てました。
そして、子供たちを積極的に集めることにしたのです。
急がば回れということなのでしょうか、
子供のころから美術館を経験し、その楽しさを知れば、
彼らが大人になった時、自分の子供も美術館に連れてくる
という長期的な視点を蓑氏は持っています。
開業した年、蓑氏は、
金沢市の4万人の小中学生を全員「まるびぃ」に無料招待。
その際、子供たちには、
「もう一回券」(無料入場券)
を渡しました。
すると、子供たちは、「もう一回券」を手に、
親を連れて再来場してくれました。
回収された「もう一回券」は、7000枚に上ったそうです。
つまり、子供たちだけでなく、大人の来場者の促進にも
効果があったということです。
また、「まるびぃ」単体だけでなく、
周辺の街も巻き込んで、面的な集客策にも
取り組んできました。
飲食店街では、まるびぃの半券を見せると
特別サービスを提供する店舗がありますし、
蓑氏の名前を取った
「MINO丼」「MINOスパゲティ」
をメニューに載せ、
半券で100円引きにするところもあるそうです。
蓑氏のすごい点は、こうした初期の成功にあぐらをかかず、
常に斬新な人をひきつける企画を次々と打ち出すことが
必要だと考え、継続してきた点です。
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2009.05.15
2009.07.03
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。