Facebookを使ったサイバーパンクとしての将来像予想。
そこに出てきたのは、可愛くて、愛くるしくて、それでいて精悍な顔つきの子どもだった。「ぼくね、この人との子どもだったら、すごくよかったんだよ」。マコトは、この子の特性を指さして、画面を叩いた。「ほら、ほら」。
たしかにそこには、他人にたいして思いやりがあって、学力が高くて、何の欠点もない内容が列記されていた。あたしはもう何も言えずに、くずれおちた。
「ママ、ごめんね。こんなことしちゃって。でも、どうしても、ありえた現在をたしかめてみたくなっちゃって」
あたしはそのままトイレにかけこんだ。そして、ポケットからスマートフォンを取り出した。「佐藤正人」。たしかに、彼はサイバースペース上にいた。プロフィールを見ると、「独身」と書いてあった。
「マコト、ちょっと、こっちにきなさい」
あたしは一言「ありがとう」といった。そして、マコトを殴った。マコトが気を失っているすきにあたしは、家を出る支度をした。
あたしは前の彼氏に「おっ! ひさしぶり! フェイスブックで発見しちゃいました! 暇なら、会わない?」とメールした。
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2012.12.25
2016.03.14
未来調達研究所株式会社 取締役
大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役。コスト削減のコンサルタント。『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など著書22作。