「今」のビッグデータに対して「データマイニング」を実行する際には、従来の「直線型」ではない、「循環型マーケティング」の理論と戦略を前提とする必要があります。
「シングルソースデータ」
として扱える「今」のビッグデータ対象のデータマイニングでは、
・消費者行動のより深い理解
・消費者の反応(購買や離脱など)予測モデル構築
が可能となります。
購買履歴データでは、
何をいつ、いくらで買ったか(行動)
を把握できるのみ。
しかし、その人のアクセスログデータから、
・その商品を購入する前にアクセスしたサイト・情報
が、さらに、その人のSNSの投稿データからは、
・なぜその商品を買ったのか(理由)
・商品を使ってみて満足してるか(感想・評価)
・商品について、他者にはどんなことを話したか(共有)
も併せて把握できるかもしれないからです。
すなわち、今のビッグデータ分析からは、
・購買にいたるまでの行動(商品認知から情報収集)
・購買の場での行動(商品の比較検討・購買決定)
・購買後の行動(商品利用評価・共有)
の一連の消費行動が全体として見えてくるのです。
ただ、今のビッグデータ対象のデータマイニングにおいて留意しなければならないことがあります。
それは、上記の一連の消費行動はぐるぐると循環している点です。
というのも、一人の消費者が、ある商品についての情報を集め、比較検討し、購買・利用した後、その評価を他者とも共有することを通じて、この消費者の再購入に向けての新たなサイクルが開始されるからです。
そこで、これまで提唱されてきた、
情報収集→比較検討→購買→消費(利用)→廃棄
という線的な消費行動モデルではなく、
以下のように、循環する消費行動モデルに基づく
分析を行なう必要があります。
情報収集→比較検討→購買→消費(利用)→共有→廃棄
(*共有後は、情報収集に戻る)
なぜなら、個別のデータを「縦」に眺める場合なら、とりあえず分析してみるというアプローチでもなんとかなりましたが、統合されたデータを「横」に眺める場合は、一定の理論・モデルを分析の枠組みとして用いないと、どこからどう分析していいか混乱するからです。(これは実感値としてあります)
実のところ、こうした消費行動に立脚する
「循環型マーケティング」
の理論と戦略はまだまだ手探りの段階。
したがって、ともかくも
シングルソースのビッグデータの分析
に取り組みつつ、並行して
循環型マーケティングの理論・戦略
の構築を急ぐ必要があると思われます。
今回はちょっと難しい話になってしまいました。
次回は清水先生が紹介してくださった面白い事例を取り上げたいと思います。
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2012.11.06
2012.11.30
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。