商品開発、広告・販促などを企画・実行するマーケターは、「マーケティングリサーチ」を行なう必要がある場合、一般的には、社内のリサーチ部門の専任者依頼するか(そうした部署がある場合)、あるいは外部の調査会社に依頼しています。 しかし、これからのマーケターは、自らもリサーチを企画・実行し、また分析ツールを用いてデータを分析する必要性にせまられています。
私は、シナプス・マーケティング・カレッジの講師として、「マーケティングリサーチ入門」の講座を10年近く続けています。
受講者が所属されている業種・業態は様々です。入門講座ですから、ほとんど、あるいはまったくリサーチの経験のない方が、
「リサーチの概要を理解したい」という「目的」で受講される点は共通しています。
しかし、受講の「動機(きっかけ)」が、近年変わってきたように感じています。
以前は、マーケティング全般を学んでいる方が、マーケティングリサーチについても理解しておきたいといった個人的な動機が多かったのです。
ところが、最近は、
・これまで営業やっていたけれど、 マーケティング関連部署に配置転換になって自分でリサーチをやらなければならなくなった
・転職したら、業務経験のないマーケティング関連部署に配属となったため、リサーチもやらなければならない
という方が増えています。
つまり、業務上の必要に強くせまられてリサーチ入門講座を受けにこられているわけです。
そうした方の話を突っ込んでお聴きしてみると、
・調査・分析結果を踏まえた企画・提案が求められている(また、より求められられるようになってきた)
・社内にリサーチのプロはいない、かといって、リサーチ会社に外注する予算の確保が難しい
といった事情があるため、自らリサーチを企画・実行せざるを得ない方がほとんどです。
この背景には、やはりインターネットを核とする「デジタル革命」の影響が大きいのでしょう。
社会のIT化=デジタル化が進み、かつインターネット技術でデジタル機器類がネットワーク化された。このため、あらゆる事象・消費行動などについての豊富なデータが日々量産されており、かつ、そうしたデータの入手が容易になりました。(いわゆる「ビッグデータ」ですね)
また、インターネットを活用した調査(ネットリサーチ)のおかげで、必要なデータを低コスト・短期間で集めることができます。
一方、社会が高度化・複雑化したため、従来のように、担当者の「勘や経験、思い込み」だけで物事を判断することはリスクが高いという状況にある。このため、可能なかぎりリサーチ・分析結果に基づく意思決定が必要とされています。
このように、データの入手、リサーチの実行が容易になり、またその重要性がますます高まっているにも関わらず、日本企業の経営状況は全般的に厳しく、調査のための外注予算が十分に割けないために、マーケターがリサーチや、分析スキルを身につけなければならなくなっているのです。
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2012.12.14
2016.08.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。