KY、すなわち「空気読め」は今どきのコミュニケーションを円滑に進めるために必須の能力といえる。しかし、ビジネスのプロ、特にマーケッターを目指すなら、求められるのはMYだ。ではMYとは一体なにか。
たとえば世界第二位の経済大国はどこか。日本である。ただし、これまでの
ところは、という保留条件がつく。そこで次の質問、もう3年後に迫ってい
る2010年に同じ質問をすれば、正解はどう変わるだろうか。
確定とまでは言い切れないにせよ、かなりの確率で答は「中国」となってい
るはずだ。さらに2020年ならどうか。今から13年後には世界第二位の
経済大国が「アメリカ」となっていたってちっともおかしくはない(ひょっ
とすると第二位がインドという可能性さえある)。
そんな未来を今から読んだ上で、どんなビジネス(=価値提供)を、どんな
業種・業態で、どのエリアで、誰をターゲットに定めて、自社をどんなポジ
ショニングにおいて展開していくのかを考える。これが古い言葉でいえば
『先見の明』であり、今風に表現するなら『MY(マクロ読め&未来読め)
である。
ところでマクロ分析といえば、実はマーケティングのイロハのイである。
が、これを正しく行なうことは意外に難しい。なぜか。マクロな動きを的確
に把握するためには、常日頃からいくつかのテーマを持って、世の中の動き
を見ていく必要があるからだ。
だから、たとえば急に「じゃあ、いま企画している○○のマーケティング企
画を考えて」と依頼されて、さて、その○○を取り巻くマクロ環境はとリ
サーチしても、通り一遍のことしか掴むことはできない。それではズバッと
核心を突いたプランニングを立てることは難しい。
なぜか。マクロの動きは短期的・表面的には目立った変化として出てこない
からだ。逆にいえば、だからこそその流れを的確に読める人にはビッグチャ
ンスを掴めることになる。
たとえばケータイ通販である。このところケータイ通販のマーケットサイズ
が急成長している。その拡大するマーケットの中でほぼダントツと言ってよ
いぐらいの強みを発揮している企業がある。ゼイヴェルという。東京発(初
でもある)のリアルクローズ・ファッションイベント『東京ガールズコレク
ション』を仕掛けている企業と言った方がわかりやすいかもしれない。
このゼイヴェルがケータイ通販に目を付けたのは、ドコモのi-modeがサービ
スインするかしないかの時代、まだ21世紀を迎える前のことだ。当時の
ケータイは、もちろんまだモノクロ画面である。これをモニターと呼ぶのは
ふさわしくなく、まさしく画面と呼ぶべき代物である。小さい、見づらい、
通信速度も遅い。ましてやまだまだ「つながる」こと自体がキャリアの差別
化ポイントになっていたような時代の話である。
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