仕事とは、「能力×思い→表現」である。私が行っている中学生向けキャリア教育の授業には、十分大人になって働いている皆さんにとっても、いまだ有効な気づきを与えてくれると思います。では、10枚のスライド講義をはじめましょう。
このように、みなさんの周りには実に多くのモノやサービスがありますが、よくよく観察すると、そこにはたくさんの仕事・職業がかかわっています。みなさんも、近い将来、何らかの仕事に就いて、親から独立して生きていくことになります。
◆仕事とは「能力×思い→表現」である
さて、仕事をするためには、何といっても「能力」が欠かせません。でも、能力だけで仕事はできないんです。仕事をするには、もうひとつの要素「思い」というものが必要です。
「思い」とは、情熱や決意、夢・志、信念のようなものです。簡単に言えば、自分は能力を使って、「こうしてみたい」「こうしてみせるぞ」という心のエネルギーです。こういう心から湧き出るエネルギーが強いか弱いかで、能力の出具合も変わってくるのです。
みなさんもレストランに行ったとき、やる気のない店員が無表情で料理を出してくるときと、意欲に燃えた笑顔の店員が出してくるときでは、どちらが「よい仕事」をしていると感じますか? そのように、働くこと・仕事というものは、「能力」以上に「思い」が関係しているのです。
そしてこの「能力」と「思い」を掛け合わせて、何らかの「表現」をする――表現をするとは、物をつくったり、行動で表したりすること――この3つの要素をひっくるめて、「働くこと・仕事」になるんです。
「働くこと」の3つの要素のうち、「能力」と「思い」は自分の内側にあるものです。ですから、人からは見えにくい。ところが、3つめの「表現」は、自分の外側に生み落とされるので、人からよく見えるものです。この見えるようになった「表現」に対し、人(お客様)がいろいろと反応してくれるわけです。
「スゴーイ!」っていう反応もあれば、「いいね、それ!」とか、「助かったわぁ」「ありがとう!」という反応もあるでしょう。
◆「働けばお金がもらえる」のではなく……
みなさんのお父さん・お母さんも、みな、「働くこと」で、生活のためのお金(給料)を得ています。みなさんも、少し家の手伝いをして、その分のお小遣いをもらえるときがあるかもしれません。
でも、そのときに、「(ガマンして)働けばお金がもらえる」ということではなく、このように考えてみてはどうでしょう。
プロ野球やプロサッカーの選手は、自分の能力と思いを組み合わせて、すごいプレー(=表現)をする。だから、「感動をくれてありがとう!」といってみんながそこにお金を払いたくなるんです。学校の先生や病院の先生についても、「新しいことを教えてくれてありがとう」「病気を治してくれて助かりました」ということに対して、私たちはお金を払うんです。そしてそれが、先生がたの給料になるということです。
だから、働いて得るお金というのは、実は、自分の「表現」したものが、どれだけ「ありがとう」の気持ちを集められたかという合計量によって決まってくるんです。
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【中学生向け「働くって何だろう?」の授業をあなたに】
2013.07.17
2012.08.01
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。