人財開発を考える際「どのように人を教育・育成するか?」を考えがちだが、その前に「どのように人が育ってきたのか?」を考えてみる必要がある。現場の人間が成長する裏側を観ると、多くの場合、何らかのストレスがそこには存在している。
話は少し違うのだが、子供達が夢中になって遊ぶポケモンというゲーム(ピカチューで有名な)がある。キャラクターの数は全部で600種を超えるそうで、子供たちは必至にそのキャラクターの名前を覚えたりするのだが、この行動の裏にもストレスが大きく影響しているという。遊びがストレス?と思われる方も多いかもしれないが、子供たちにとっては、数多く存在するピカチュウのキャラクターを“自分は全部知らない”ということに強いストレスを感じ、そのストレスから解放されるために必死でキャラクターを覚えるというのである。
話を人材開発に戻してみると、人を育成する方法として、さまざまなアプローチがあり、プログラムも存在する。しかし、その多くが「受講者の持つ課題とは何か?」「あるべき姿と現実とのGAPとは何か?」「課題やGAPを埋める為に何を教えれば良いか?」という外側から必要要素を分析し、不足部分を教育で補うというものが多いように思われる。決して間違ったアプローチではなく、そこから多くのことを学ぶ事もできると思うだが、実際にその組織をリードしている人々がどのようなプロセスを経て現在の姿に成長してきたのかの視点を忘れてはいけない気がする。
もし“ストレス”が結果として人を成長に導く根源にあるとすれば、人材開発プログラムの中にその要素を積極的に取り入れる(例えば、受講者に高いストレス状態を疑似体験させ、学びを促進させるなど)べきであるし、受講生の学習課程においても、会社側が受講生の課題を分析して教える人材開発ではなく、受講生が自ら考え課題を乗り越えるしくみの人材開発が必要になってくるのではないかと思われる。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2013.02.19
2015.07.22
株式会社ワークスラボ 代表取締役
アセスメントデベロップメント(アセスメントと人材育成を融合した人材開発プログラム)の考えの基、企業における人材開発体系の構築から幹部社員育成プログラムの開発、各階層におけるアセスメントプログラムの開発・実施を手掛ける。 また、慶應義塾大学ビジネススクールの受託研究開発担当として、企業の抱える経営課題の分析から解決に向けたプロジェクトの推進・マネジメントに従事する。