「転職する/しない」に関わる6つのリスク

2012.05.17

仕事術

「転職する/しない」に関わる6つのリスク

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

転職を考えるとき、「動く」にせよ、「留まる」にせよ、そこにはチャンス(機会)とリスク(危険)が併存する。ここではそのリスク面について書く。

④【健康的リスク】
 転職によって仕事の環境を変えることは、心機一転ということもありますが、その準備段階、実行段階においてかなり精神的、肉体的に負担をかけることになります。そうした意味で、転職時は健康を損なうリスクが高まるのが事実です。
 他方、現職の環境がストレスに満ちていて、それでもしばらくは様子見を決め込んだ場合も同様に、健康にリスクが生じるものです。仕事環境への不満や不安、上司との関係悪化などにもかかわらず、現状に留まって次のチャンスを待つことは、相当に精神的、肉体的な負担を強いるでしょう。

⑤【加齢的リスク】
 これは「動く/留まる」「現職に満足している/していない」にかかわらず、誰にも当てはまることですが、年齢が高くなればなるほど、諸々のリスクは大きくなってきます。
 例えば、歳とともに家族に対する責任や社会的責任が増していき、その結果、保守的になり思い切ったことができなくというリスク。能力的な柔軟性や伸びしろが限られてくるために、キャリアの選択肢が硬直化するというリスク。そして当然、体力がピークを過ぎ、こなせる仕事量が減少するというリスクが増大します。一般的に、転職案件は30代半ばからのものがぐっと減るのは、こうしたリスクを採用企業側が認識しているからです。

⑥【精神的リスク】
 このように、転職するにせよ、しないにせよ、リスクはさまざまに生じます。しかし、リスクを恐れる必要はありません。リスクは適切に認識しさえすれば、それを低減できる部分がかなりあります。

むしろ恐れるべきは、「リスクを恐れて何もできないでいる自分」です。

 これが最後6番目の精神的リスクです。所詮、リスクといっても、平成ニッポンのビジネス社会でのリスクではないですか。命まで取られるわけではありません。
 何よりも大事なことは、日頃の仕事の中で、リスクを凌駕するほどのチャンスを見つけ出すことです。それができれば、「リスクを恐れる自分」など吹き飛ばせるはずです。それで結局、社内異動だろうが社外転職だろうが、それは手段にしかすぎないんだと思うことができ、大胆に行動が起こせます。そういうエネルギーが自分の中に満ちてくれば、「物事はうまくいく、いや、うまくいかせてみせる!」という心持ちになります。それが“意志あるキャリア開拓”の姿というものです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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