航海に大事なものは「船・羅針盤・目的地入り地図」。新入社員にかぎらず、改めてキャリアという大海原をいくことについて考える。船=自立、羅針盤=自律、目的地入り地図=自導。はたしてあなたはこの3要素が揃っているだろうか?
□他論・異論にあえて触れる
・図書館に行って普段行かない棚の本を読む
・新聞記事を隈なく読む(特に社説)
・苦手な分野のドキュメンタリー番組を観る
□そしてそれらの内容を自分なりの角度を入れて考える
そのときのポイントとして:
1)YESかNOか(賛同か反対か)を表明する
2)「なぜなら~だから」と理由づけする
3)その理由づけの基底にある価値観を考える
4)自分が当事者なら、どう行動するかを考える
(=単なる批評に終わらせない)
□「意見を書く・出す」を日課にする
・ブログで発信する(ツイッターのようなつぶやきは除く)
・会議では必ずアイデアを言う
・他者からの反応を注意深く受け止める
□座右の書を持つ
□理想とする人物を持つ
□働く上での信条・モットーを書き出す
◆「地図に目的地を描け」~一職業人として何者でありたいか
さて、航海において、船を造りました、羅針盤も持ちました。で、どこを目指すのですか?───これが3つめのテーマである「地図を持ち目的地を描く」です。
実際の航海であれば、どこを目的地にするかというのは当たり前のことです。目的地の定まっていない船にみなさんは乗りますか。ところが、キャリアという航海で、目的地を決めている人は、実は少ないのです。ほとんどいないと言っていいかもしれません。ちなみに、職場に配属された後、先輩社員や上司に、職業人として何を目指しているか、将来的にキャリアをどうしたいかを訊いてみてください。おそらく明快に答えられる人は少ないでしょう。
会社という組織に入ると、全社事業目標という計画があり、そこから仕事は細かに分業され、各自が果たすべき業務の量や質が決められます。それをきっちりこなしていけば、組織から評価され、昇進があり、給料ももらえます。いわば、働くべき量と質は組織の枠の中で決められ、与えられるものになります。
そうしたことに毎年毎年慣れていくと、ついぞ、自分が一職業人として何を目指すべきか、仕事を通し社会に何の価値を届けたいか、組織の肩書きをはずして何者でありたいか、などを考えなくなってしまうのです。つまり、悪い意味で会社員という狭い世界に意識が閉じてしまい、個人としてたくましく広い世界に意識を開いていかないのです。目的地を描かない航海とはこういうことです。
サラリーマンという働き方は、目的地を描かずとも、定年まで勤め上げることができます。それはそれでひとつの姿ではあります。ですが、組織という守られた湾の内で船を漕いでいた人が、いざリタイヤとなって、余生という名の本当の大海原に放り出されたとき、はたして人生の最終目的地を描けるかどうか……これは覚悟しておかねばなりません。
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。