「事業体とは利益を得るための組織である」───この考え方に対し、ピーター・ドラッカーは「間違いであるばかりでなく、的外れである」と言った。
◆金儲けをどう位置づけるかは自分の意思
とはいえ、やはり、お金や利益を目的にする人たちはいます。金融商品で投機的に利益を出そうとする行為はその典型です。また、儲けることが効果的な手段になる場合もあります。深刻な経営危機から再生を図る企業にとって、四の五を言わず、利益を出すことは重要な手段です。大幅な赤字決算、大規模なリストラから立ち直る途上において、「利益が出た!=黒字に戻った!」というのは、何よりの社内活気づけの材料になるからです。
以上、金儲けは目的か手段かについて考察してきましたが、結論から言えば、それは目的にもなりえるし、手段にもなりえる。あるいは、条件や成果・報酬・恵みにもなりえます。より正確には、これら4つの要素の複雑微妙な混ざり合いとなるでしょう。どの要素の比重が大きくなるかは、その人の意思によって決まります。───こういうふうに結論付けると、読者は「何か平凡な結びだなぁ」と感じるかもしれません。しかし、平凡ではありますが、経済を営む私たち1人1人はよくよくこのことを真面目に受け取らねばなりません。この世で、金を魔物にするも天使にするも、それは人間次第。金に振り回される社会になってしまうのも、金をうまく使える社会にするのも、結局、人間の意思に任されているのですから。
※目的と手段を考える〈上〉
http://www.insightnow.jp/article/6840
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【目的と手段を考える】
2011.10.17
2011.10.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。